沖縄問題―リアリズムの視点から (中公新書) の感想

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参照データ

タイトル沖縄問題―リアリズムの視点から (中公新書)
発売日販売日未定
製作者高良 倉吉
販売元中央公論新社
JANコード9784121024183
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 軍事 » 軍事入門

購入者の感想

沖縄に関する本、特に基地問題に関する本は数多いが、大半が実務に関わったことがないジャーナリストか学者によるものであり、ハッキリ言って現実を直視していないものばかりというのが実状である。その中で、本書は、沖縄県庁の実務家OB達によって書かれたという唯一無二のものであり、異彩を放っている。本書の副題に「リアリズム」という言葉が見えるが、日々の行政は綺麗事だけで済むものではなく、現実を直視した上で政策判断しなくてはならない。得てして浮世離れした理想論から論じられがちな沖縄問題だが、このように行政実務の観点からの冷静な分析がこれまでほぼ皆無だったのが驚きである。

本書の白眉は、やはり仲井真県政における、辺野古の埋め立て申請の過程である。当事者達によるほぼ唯一の証言であり、資料的価値が極めて高い。政治的バイアスで歪められがちな案件だったにも関わらず、行政手続的、法的観点から淡々と審査を行ったのは、筆者達の行政官としてのプロ意識の賜物だったのだと思う。仲井真県政の幹部達による自己弁明として批判する向きもあるだろうが、このように現場の行政官の証言に耳を傾けることが今求められているのではないか。

翁長県政になって、本書の筆者達は一体どういう目に遭ったのか、中立性を確保すべき県庁の職員が、県知事の政治スタンスに左右されがちな県庁でどのように立ち回っているのか、といった興味深い点については全く論じられていない。沖縄県庁の内情について、この筆者達に明らかにしてもらいたい。

沖縄経済の現状と歴史的背景、軍用地返還の行政の努力が書かれており、米軍問題一辺倒の沖縄本と違い、理性的現実的な内容であった。
少し加不足があるとすると、行政の努力の成果と交渉の細かな経過を書きすぎてる事と、沖縄の次の産業にITが入ってる理由が書かれてない無い事、くらいか。

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