ゴリラ 第2版 の感想

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参照データ

タイトルゴリラ 第2版
発売日販売日未定
製作者山極 寿一
販売元東京大学出版会
JANコード9784130633444
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » サル・人類学

購入者の感想

 世界に知られる霊長類学者である山極寿一氏。『「サル化」する人間社会』(集英社インターナショナル)といった一般向けの著書もあるが、その研究のベースは野生ゴリラの観察と調査にある。本書には、氏が1978年から蓄積してきた、野生ゴリラ研究の成果と知見が詰め込まれている。
 本書の特色は、ゴリラを広く深くとりあげている点にあるだろう。たとえば本書は、ゴリラの一亜種をとりあげるのではなく、マウンテンゴリラ、ヒガシローランドゴリラ、ニシローランドゴリラといった3つの亜種をとりあげ、それらの比較なども行っている。そして、そのように広い視点に立つことによって、著者はゴリラにまつわる問いと考察を一段と深く掘り下げている。たとえば、ほかの亜種は基本的に単雄群であるのに、どうしてマウンテンゴリラには複雄群がたくさん存在するのか、というように(じつはその点には子殺しの発現が関わっていると考えられる)。ほかにも本書では、生態と社会の相互関係、チンパンジーとの同所的共存、そしてゴリラと自然の保護活動など、充実したトピックが展開されている。いずれも広く深い内容ゆえ、それらについてはぜひ本書自身に当たってほしいところだ。
 感想をひと言でいうと、観察と理論のバランスが非常によくとれた研究書であると思う。というより、長年にわたって地道な観察を続けてきたからこそ、そのうえにこうしてしっかりと理論を形作ることもできるのだろう。「長いあいだ野生のゴリラとつき合い、多くのゴリラと出会ってきたという点では私はだれにも負けない」と著者はいう。本書を読んでいると、この言葉に不遜な感じはまったくしない。
 ところで、わたしはじつは本書の初版も読んでいる。正直なところ、初版と比べてみても、今回の改訂版で大きな内容変更があったわけではないだろう。ただそれにしても、ダイアン・フォッシー『霧のなかのゴリラ』といった類書が品切れになっているなかで、このような名作が再び世に出ることに喜びを感じざるをえない。『「サル化」する人間社会』を楽しんだ人には、ぜひこのような研究書にも挑戦してほしいと思う。

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