日本政治思想史研究 の感想

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参照データ

タイトル日本政治思想史研究
発売日販売日未定
製作者丸山 眞男
販売元東京大学出版会
JANコード9784130300056
カテゴリ哲学・思想 » 東洋思想 » 日本 » 日本思想史

購入者の感想

 本書は丸山真男氏が1940~1944年に執筆した政治史に関する論文を集めたもので、日本政治思想史研究のマイルストーンとなった書籍です。

 どの分野にもそれぞれの好き嫌い、賛成反対に関わらずとにかく読んでおかないとその分野の議論に加わることができないといった性格の本があるもので、本書はそういった書物の代表的な一冊といってよいでしょう。これはその改訂版の凡例にある「字詰、行どり、ページ構成は初版を動かさぬことにした。これはこれまで旧組みにしたがって本書からの引用が行われていることを考慮し、読者の検索の便宜を損なわぬためである。」という文章に象徴されています。こんなことが凡例に書いてある本などめったにあるものではありません。いかに多くの研究者たちがこの本を読み、研究の糧にし、また自分の論文に引用したかが分かります。

 この本が戦時中という非常時に書かれたものであることも注意する必要があるでしょう。丸山氏が所謂特高ににらまれていたこともあり、字句の変更を教授からアドバイスされたといった逸話には迫力がありますね。実際丸山氏は第三章を完成させる前に招集を受け、応召までの残された1週間で何とか中間地点まで論文をまとめました。これを新宿駅まで急ぎ見送りに来てくれた辻清明氏に託して入隊します。この欄外に符丁が多用された原稿を校正して発行にまでこぎ着けた東大の同僚たちの熱い友情にも胸を打たれます。一方その後丸山氏自身が見解を変えた部分も多々あるという点もその執筆状況から頷けるものがあります。

 個人的な解釈では、本書は西洋政治思想史のコンテクスト、政治思想的流れと対比させながら日本政治思想史のコンテクストや流れ、それぞれの思想の画期性や意味や影響などを説明したものだと思います。これにより日本政治思想史の重要な文脈を読者に埋め込みます。この「思想史的文脈」がそれぞれの思想を個別に学ぶよりもはるかに有効な基礎を読者に提供するのです。これが西洋政治思想史の深い理解まで促すのですから西洋政治思想史だけ勉強よりもむしろ西洋政治思想史の理解が得られます。ちなみに、本書はまず日本政治思想史を学ぶならバイブルに近いです。

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