鏡が語る古代史 (岩波新書) の感想

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参照データ

タイトル鏡が語る古代史 (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者岡村 秀典
販売元岩波書店
JANコード9784004316640
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

気に入ったのは年表付きで歴代のリーダーを取り巻く鏡の変遷が詳しく知る事が出来た事と漢字の成り立ち迄も詩文から記されていた。物足りなかったのは宝飾鏡の成り立ちの時代も少し書いて欲しかった。

 考古学に関連した企画展や博物館の常設展示などには古代の鏡が並べられているのが常である。ただ、四神鏡とか神獣鏡あるいは画像鏡などと表示されていても描かれている図像の意味もよく分からないし、周りに漢字が書かれているのは分かっても内容は判読できないしで、価値や面白さが分からないままであった。特に卑弥呼の鏡と言われる三角縁神獣鏡の位置づけに興味があったので、古代中国の鏡を系統的に解説している本書を読んでみることにした。

 紀元前2000年ころの鏡も取り上げられているが本書の中心をなすのは前漢から後漢の時代の鏡である。中国のそれぞれの地域で鏡の図像や銘文がどのような変遷をたどったかが丁寧に解説されている。一部の地域については、鏡の作者(鏡工)や鏡工の集団ごとの変遷や活躍時期までかなり正確に突き止められているようで、この分野の研究が深化していることに先ずは驚かされる。書かれている銘文も、実はそんなに難しい内容ではなく、作られた鏡がいかに素晴らしいもので、その鏡を所有した人にはどのような恩恵がもたらされるかをアピールしているものがほとんどだというのも本書を読むまで知らなかった。描かれている図のモチーフも古代の聖人や霊獣など実は多くは限定されていて、時代や地域によって強調されたり省略されたり特徴があるようである。それらのことが鏡の写真ごとに示され、また本文でもかなり丁寧に説明してあるので、本書を通して読むと大体何が描かれているか分かるようになった気になる(取り上げられていない種類のものも多数あるだろうからそう簡単にはいかないだろうが)。

 一番興味のあった三角縁神獣鏡については最後の章に出てきて、著者の見解は中国本土で作られ魏が卑弥呼に贈ったものとしているようだが、論争の続いている鏡なので他の本なども読んでみる必要はありそうである。ただ、後漢の鏡製作の流れの中で登場した鏡であること、銘文が他の鏡にはない特殊なものであることはよく理解できた。

 かなり専門的な内容でとっつきにくい印象の本ではあるが、じっくり読むと古代の鏡工や鏡を手にした人々の思いなども感じられてかなり面白い。どれでもいいので実際の鏡を見てみたい気にさせてくれる本である。

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