人民元の興亡 毛沢東・鄧小平・習近平が見た夢 の感想

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参照データ

タイトル人民元の興亡 毛沢東・鄧小平・習近平が見た夢
発売日販売日未定
製作者吉岡 桂子
販売元小学館
JANコード9784093897716
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

紙幣とは不思議なもの。たとえば日本円。外貨準備としてかつては金、今は米ドルの保有が信用の裏付けになる。今の人民元もバスケット制があり、米国債を保有が信用の源だ。
かつて大陸では多くの発券銀行が存在し、統一的な紙幣がなかった。日米英ソなどが瓜分を試みた時期に重なる。
筆者はそんな時代から読み解き始め、人民元をIMFのSDR構成通貨まで育て上げた苦闘を読み解く。
この先、米ドルとならぶ基軸通貨になり得るかと言えば、中国自身の体制が抱える弱点ゆえに限界があるとの指摘、ビットコインの登場まで目配りする視野が広くて楽しい1冊だ。
副題に「毛沢東、鄧小平、習金平が見た夢」とあるが、実は見ている夢は全くことなるのではないか。
毛はともかく国内の幣制統一に全力を傾けることで精一杯だったろう。清朝の時代、地方の決済通貨としての銅と、地域間の決済通貨としての銀との2本立てだった国で、あまねく人民元が流通するということはやはり驚異ではある。鄧はその通貨を国際的な舞台に送り出すのが夢だったろうし、習は世界の基軸通貨に、と夢見ているだろう。
ただ、共産党の下に政府も中央銀行もある中国の体制維持という大原則より、現実の方が先に進む。電子取引を始めとして。
世界の基軸通貨としての地位を人民元が確立しようとすれば、管理するのが困難になるのは自明ながら。
あと、本書にも登場するのだが、英を主体とした1935年ごろの法幣改革の件。国民党が1元を1シリング2ペンス1/2に定めたことは、当時の日本は日韓満のブロック経済の建設を目指したから、受け入れなかったのだけど、ここでもう一歩、当時の日本政府が殻をやぶるつもりの発想があったら、と思う。
あといいところ。最初に筆者が書き起こすきっかけは紙幣の図柄。その様を見せるために、グラフページをあえて挿入している。年表もついている。かゆいところに手が届く感じ。望蜀の嘆とすれば、人名索引と人の略歴の注釈(頭注でも脚注でもいい)がほしかった。

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