司法官僚―裁判所の権力者たち (岩波新書) の感想

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タイトル司法官僚―裁判所の権力者たち (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者新藤 宗幸
販売元岩波書店
JANコード9784004312000
カテゴリ社会・政治 » 法律 » 暮らしの法律 » 法律入門

購入者の感想

司法試験を経て、裁判官になること自体が超エリートであるような気もするが、任官10年までに、高裁長官、最高裁裁判官になる「エリート中のエリート」は既に決まっている。一人一人の経歴を明らかにして、スーパーエリートの階段を分析したのが本書。裁判官は最初の10年で最高裁事務総局に入れるか、にすべてかかっている。その数は約100人の同期任官中、数人。実はスーパーエリートたちの多くは、そのキャリアで余り裁判をしないし、所長、長官になるまで東京以外にほとんど出ない。その中でも、ライン局ではなく、人事や経理など司法行政の経験が司法トップへの近道なのだという。最高裁創設時以来60年、任官からトップへの道は笑っちゃう位変化がない。極めて硬直したシステムだ。

最高裁は異常に情報を出したがらない組織で、HPにも各局が何の仕事をしているのか何の説明もない。しかし、著者は数十年前の資料にもあたり、人事、判決案提示などで事務総局の権力がいかに絶大か示し、事務総局が日本の司法をノーチェックで全国津々浦々まで支配している現状を目の当たりにする。裁判所への情報公開請求が却下されても、その異議を認めるか判断するのも「裁判所」なんだから話にならない。

司法行政トップを職業裁判官が牛耳ることで、本来は別ライン採用である事務官で作られるべき司法行政による司法のチェックが効かない。逆に行政ばっかりやってきた人が司法のトップになることで、裁判経験も乏しく前例踏襲という習性のある「行政官」が司法の方向を決めてしまう。だから日本の司法は重度の秘密主義、前例踏襲的な判決が繰り返される。著者は最後に、裁判所の情報公開制度整備と事務総局から裁判官を排除する人事改革を提言している。賛成、と言いたいところだが、個人的には面倒なことに一切関わりたくないという役人根性溢れる裁判所事務官を多く見てきたので、うーむ……

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