進撃の巨人(22) (週刊少年マガジンコミックス) の感想

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参照データ

タイトル進撃の巨人(22) (週刊少年マガジンコミックス)
発売日2017-04-07
製作者諫山創
販売元講談社
JANコード登録されていません
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

伏線回収が凄いというのは何人ものレビュアーさん達が書いておられるので触れません。
個人的に進撃の巨人という漫画の一番凄いと感じる所は何処なのかと考えた時に、それは情緒描写やその演出での極めて繊細な部分だと思っています。
この漫画の情緒的な部分の描写は、インパクト狙いでただ登場人物が泣き叫んだり無闇に悲劇ぶったり驚愕して見せたりというような創作物を見慣れた読者にとっては少し物足りないと感じる程に抑えられていると思います。
感情を露にするのがエレン一人に見えるくらいに、少年少女の兵士達も主要人物の大人たちも落ち着いているし、起っている出来事の大きさや無残さに対しての感情描写や演出は淡い。
そういう方面でもっと湿っぽく大袈裟にするならいくらでも方法があるだろうけど、進撃の巨人ではそういう展開にはならないのです。
絶望に抗う人類の代弁者であるそのエレンすら、一時期「らしくない」と言われ仲間達に励まされるほど精神的に疲弊する過程を経て、ただ無邪気に自分が一番正しいと信じて怒り叫ぶ直情的な少年では無くなってしまう。
きっと壁の外にが自由が―――「ある」と断言する事が出来なくなってしまった。
あれだけ見たいと望んで降り立ったその海の向こうには、自由と言う希望でなくそびえ立つような絶望がある。
美しくも悲しいシーンです。きっと私以外にも感情を揺さぶられた人がいるでしょう。
このシーンだけは茶化してギャグにしたり、抑えた演出にもしなかった。
ふんだんに情緒的だった。そこが素晴らしいと思います。
今まで抑えてきた感情が静かな波のように広がる二十二巻の美しきラストシーン。
二十二巻の単行本表紙はそれ以外の巻のおぞましき巨人、迫り来る危機、仲間との結束、死闘を切り取った、冒険譚的な、少年漫画的な意匠とは明らかに異質です。
辿り着いた希望の浅瀬でただ呆然と立ち尽くす彼らの後姿。
彼らのその背中が淡く霞んだように見えるのは海の先にある絶望を見つめる後姿だからでしょう。
私の中で二十二巻はバイブル的な一冊となりました。

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