東京影同心 (講談社文庫) の感想

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タイトル東京影同心 (講談社文庫)
発売日2013-12-13
製作者杉本 章子
販売元講談社
JANコード9784062777155
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説

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本書は幕末から明治期にかけての江戸・東京を舞台としています。
主人公は定町廻り同心の金子弥一郎。

当時の多くの武士の辿る道は駿府への移住、新政府への仕官、商売人への鞍替え等。
弥一郎はそのどの道もとらず、かと言って食いぶちも無いことから、かつての手下・金常が経営する料理茶屋の居候となり、自由な立場で新しい時代と向きあい、己の生きる道を探ることになります。

偶然の出会いがきっかけで新聞社に勤めることとなり、地方では新政府打倒を企て第二の維新を起こそうとする動きがあることを知ることになります。弥一郎自身もその動きに関わることになるも、自身の立場はあくまで政治的動きとは距離を置き、元上役の敵討ちをすることで武士としての生き方に区切りを付けます。

本書は幕末から明治にかけての13年〜15年程度の短い期間を時代背景にしています。
本書の魅力は、物語そのものの面白さもありますが、この時代の世相の移り変わりが弥一郎を通じて生き生きと伝わってくるところ。

江戸時代の武家のしきたり(「ねずみ」と言わずに「おふく」という等)、同心が手下に渡す手札の文言、陰扶持(家中の者が江戸で騒動を起こした際に裏処理してもらうため地方大名家が与力に払う賄賂)の存在等、江戸時代の慣習等を紹介する逸話から、明治の世に移り、市民が「治まる明(めい)」と陰口を叩いていた話、倒幕後も未だ攘夷を叫ぶ人々の存在、新しい役所の名称(「檀上台」「刑部省」等)は奈良平安のころの律令から持ち出されたこと等、この時代そのものを紹介する逸話がふんだんに盛り込まれています。

弥一郎と芸者の恋物語が物語に華を添え、読んで楽しい一冊となっています。

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