新任巡査 の感想

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参照データ

タイトル新任巡査
発売日販売日未定
製作者古野 まほろ
販売元新潮社
JANコード9784103327431
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

購入者の感想

元警察官僚が執筆した警察小説(一種の"お仕事小説")なのだが、"お仕事小説"としては一級品、ミステリとしては三流以下というアンバランスな作品。上原ライト、内田アキラ(女性)という二名の「新任巡査」の見習い訓練を中心に描いているのだが、冒頭から、"女子高校生連続失踪"事件の話が言及されるので、この二名の「新任巡査」がこの事件を解決する体裁の物語という事は初めから容易に類推出来る。特に、アキラの方はこの事件を解決するために警官を志願した事が(ほぼ)明記されている。

そして、その見習い訓練を通した警察機構・捜査手法の解説部分の描写は素晴らしい。幾ら元警察官僚だからと言って、ここまでツボを心得た描写は至難の技で、その点は評価出来る(交番の"おまわりさん"に親近感が湧く程)。しかし、この解説部分が如何せん長い。長過ぎる(全体(650頁超)の5/6)。この長い見習い訓練描写の中に伏線を埋め込むのはミステリの常道だが、読者の眼を逸らすためとは言え、流石に長過ぎるだろう。技巧の代りに長さを利用している感が否めない。しかし、不思議なもので、上述の事件の犯人が誰かは自然と分かってしまうのである。ただし、私が読んだ限りでは物的証拠はない。これを如何にして合理的に解決に導くかが、ミステリ作家としての作者の手腕なのだが、これがお粗末極まりないのである。まず、アキラが「***」という設定には驚き、呆れ果てた。真面目な"お仕事小説"(ミステリ)にSFを持ち込んではアカンでしょう。更に、冷静(冷酷?)かつ聡明な筈の犯人が納得し難い行動を取るのである。

(1) 立場上、アキラについて知悉している筈なのに、何の対処も取らない。
(2) 検死のプロでありながら、自分が襲った人物の生死を確認しない。
(3) 挙句の果てに、TVドラマ「相棒」(「刑事コロンボ」でも良いが)で良く見られる様な、見え透いたワナに簡単に引っ掛かる。

ミステリ作家としては力量が低く、特に"幼い"印象を強く受けた。これなら、いっそ"お仕事小説"に徹して、ライトの成長物語とした方が遥かに良かったと思う。

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