N女の研究 の感想
参照データ
タイトル | N女の研究 |
発売日 | 2016-11-26 |
製作者 | 中村安希 |
販売元 | フィルムアート社 |
JANコード | 9784845916153 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 倫理学・道徳 » 倫理学入門 |
購入者の感想
もともとNPOに興味があって読み始めた本ですが、N女の視点から、現代社会の有り様がよく見え、また、今後への取り組みのキーポイントも示されています。
「働き改革」をするなら、この本を参考にすべきでは…と、思いました。
他の立場が分かち合えるようにいろんな人に読んで欲しいです。
「働き改革」をするなら、この本を参考にすべきでは…と、思いました。
他の立場が分かち合えるようにいろんな人に読んで欲しいです。
タイトルのN女とは、NPOをはじめとしたソーシャルセクターで働いている女性の総称で、一部で使われているようです。そこから著者は、第一世代の50代ではなくて、好待遇が約束されている能力を持ちながら、あえて薄給に甘んじている30代の彼女たちの肖像を追います。女性は、結婚、出産、子育てと立ち止まる瞬間がどうしても多くなるため、男性よりもキャリアが途絶えがちになり、仕事とは?という疑問に度々立ち返えることになります。したがって、彼女たちの仕事との係わりは、自分探しになりがちですが、加えて待遇面で正当な要求をするというのが世代特有のもう一つの特徴です。それは、彼女たちのプライドでもあり、端的に第一世代よりも世帯所得が維持できないという、差し迫った窮状でもあります。N女がサステナビリティを考えるように、所属するNPOは補助金助成金頼みからの脱却を求められ、独自に寄付金を集めるなどサステナブルな運営を目指していく。その経営能力の向上が図られる過程は、営利企業とソーシャルセクターの垣根を取り払っていきます。
他方、著者の視線はN女が躓く新卒一括採用、企業幹部の男性中心、雇用形態による賃金差別など、そこで見えてきた様々な矛盾を通し、社会へ批判の目を向けます。ですが、N女たちの奮闘をフェミニズムやリベラルの意見に矮小化するのではなく、そのまま投げっ放しでも、きっと読者に届きます。N女が目指したものは、そんなステレオタイプに収まらない、小さな気づきの声を聞くことであったはずなのですが…
他方、著者の視線はN女が躓く新卒一括採用、企業幹部の男性中心、雇用形態による賃金差別など、そこで見えてきた様々な矛盾を通し、社会へ批判の目を向けます。ですが、N女たちの奮闘をフェミニズムやリベラルの意見に矮小化するのではなく、そのまま投げっ放しでも、きっと読者に届きます。N女が目指したものは、そんなステレオタイプに収まらない、小さな気づきの声を聞くことであったはずなのですが…