現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史 (イースト新書) の感想

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タイトル現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史 (イースト新書)
発売日2017-06-10
製作者北田暁大
販売元イースト・プレス
JANコード9784781650852
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般

購入者の感想

主にリベラル系文化人を批判の対象にした中身の薄い雑談。そういうものだと思って読めば、論壇事情に多少なりとも興味のある人ならそれなりに面白いとは思う。内田樹という日本の「反知性主義」を代表しているような言論人であるにもかかわらずほとんどメディアから批判を受けることのない存在をメッタメタに斬っているところは爽快である。しかしどうせなら、なぜ内田が「ど左翼」(北田)になってしまったのかというあたりの事情をもっと掘り下げてもらいたかった。そこが我々読者の一番知りたいところなのだから。「内田さん、いったいどうしちゃったの?」なんてことはこの手の話に興味のある人間なら誰だって気づいてるわけで。

あと、このタイトルはちょっと羊頭狗肉というか、大袈裟すぎる気がする。「論壇事情」とか「30年史」とかいうけど、要するに北田が見てきた左派・リベラル論壇のここ数十年の動向しか語られていない。柄谷がどうとか上野がどうとか宮台がどうとか言うが、私の世代(1970年代後半生まれ)で思想に興味を持つきっかけとなったのは小林よしのりの「ゴー宣」であり、そこから彼のブレーンであった呉智英や浅羽通明の本を読み進めていったという人は結構多いはずだ。なのに、このラインが北田にしても東浩紀の本にしても全く無視されている。この本にもあるが、小谷野敦が左翼冷笑主義の嚆矢であるかのような認識はズレている。小谷野自身、呉智英の影響を受けていることを公言しているし、その呉智英は西部邁の影響を多少なりとも受けているに違いない。こういう人脈というかラインを過小評価して「論壇史」を語れるはずがない。せめて「現代リベラル論壇批判」というタイトルがふさわしいのではないか。

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