創作の極意と掟 (講談社文庫) の感想

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タイトル創作の極意と掟 (講談社文庫)
発売日2017-07-14
製作者筒井康隆
販売元講談社
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購入者の感想

 「これはいわゆる教科書でもなければ何なに読本の類いでもない。ふざけたタイトルからもわかるように、単なるエッセイだ。老人が囲炉裏端で昔話を交えて語る繰り言と思って気楽に読んでいただきたい。」
 と、著者自身が序言で述べているとおり、すらすら読める一冊だ。たしかに「教科書」でもないし、「ツツイ流創作読本」というほどでもない。よくいえば融通無碍。悪くいえば……まあ、「繰り言」とまでは思わないけれど、功成り名遂げた老大家が余裕たっぷりでブンガク好きの若い衆に向かって語る文芸放談といったところか。フリー・ジャズですな。
 プロ志望の文学青年が、筒井康隆による本格的な小説論を読みたいなら、『ダンヌンツィオに夢中』『悪と異端者』、そして何より『小説のゆくえ』(いずれも中公文庫)を手に取るべきだろう。
 「序言」をふくめて32の章が立てられているが、のっけから「凄味」「色気」である。「迫力」「電話」、はては「薬物」なんてのもある。むろん、「展開」「文体」「会話」「視点」「細部」といった真っ当(?)なものが大半で、あれこれ実例をあげて説明されているけれど、いずれもどっぷりツツイ色に染まって、やはり「教科書」にはなりそうにない。しかし、読み終えてしばらく経つと、なんだか文学の本質(極意!)に触れえた気分になってきた。フリー・ジャズの即興演奏が、がっちりと構築されたクラシックよりも、生々しく「音楽」を感じさせるみたいなことか。
 筒井さんは早くからネットを活用してきた作家だが、そちら方面の記述が薄くて、その点は残念だった。現代において作家を志す人間にとり、ネットのことは避けては通れない。「インターネット」という章立てがあってもよかったはずだ。

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