破戒 (新潮文庫) の感想

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タイトル破戒 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者島崎 藤村
販売元新潮社
JANコード9784101055077
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

 「皆さんが御家へ御帰りに成りましたら、何卒父親さんや母親さんに私のことを話して下さい――今まで隠蔽していたのは全く済まなかった、と言って、皆さんの前に手を突いて、こうして告白けたことを話して下さい――全く、私は穢多です、調里です、不浄な人間です」(「破壊」島崎藤村、新潮社、三一八頁)
この文は主人公である丑松が自分の教え子たちの前で自分が穢多であることを告白する部分である。彼は自分の身分を恥じるように告白した後テキサスへと移住する。
 野間宏による評論「『破戒』について」(一九七三年、解放出版社刊、一〇頁)で野間氏は「丑松は自分の教える生徒たちの前に土下座して自分の出身を告白し、その後、新天地を求めてテキサスに渡るというのだ。藤村が部落民の問題を人間の問題として、十分考えつくすことができなかったことをあらわにしているのである。『破戒』というのはこのようなことなのだろうか。破戒とは父のさずけた戒の意味を根底からくつがえす心をもって、自らその戒を破り去り、父にそのような封建的な戒をもたらせたもの、不合理な社会にたいするたたかいを宣言することでなければならないのである。テキサスへ新天地を求めるなどというのは、逃げて行くことを示すものにほかならない。/ここにこの小説のもっとも大きな問題点がある。」と書いてある。

数年前に関西に転勤して初めて部落問題を身近に感じました。東京に比べ大阪や京都、兵庫ではまだまだ部落的な位置付けのエリアが色濃く残っていますし、日常会話でもそのような話が持ち上がることは少なくありません。
私にとって部落の人々イメージは何となく怖く、恐ろしいものでありましたがこの本を読んで初めてその人々の暗い過去と苦しみが想像以上であったことを知りました。同じ人間として、同じ日本人として、今現在でも言われもない差別を受けている人たちがいることを改めて考える必要があると思いました。中には被差別部落の人たちが政治的な力を使って優遇措置を受けるなど逆差別的な状況もあると聞いていますが、この本を読みその根本にどのような歴史があったかを考えてみることも非常に重要なことではないでしょうか?

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