サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福 の感想

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参照データ

タイトルサピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福
発売日販売日未定
製作者ユヴァル・ノア・ハラリ
販売元河出書房新社
JANコード9784309226712
カテゴリジャンル別 » 歴史・地理 » 世界史 » 一般

購入者の感想

ホモ・サピエンスの誕生から、徐々に人間らしい文化や生活習慣ができる過程を描いた本である。
分厚い本で一見難しそうだが、非常に読みやすい。歴史本であるが、生物学や哲学などいろんな学術の観点から読み解いている。

 ほぼ当たり前の内容かと思いますが、常識として皆が持っているかというとそうでも無いでしょう。著者は、人間が世界観(規範/価値観、宗教、イデオロギー)を共有できるようになった認識革命を7万年前としてます。この世界観が、人間どうしを協力させ、一種のミームとして人間を操るようになったが、それが個々の人間の幸せに繋がっているかは別、というのもそのとおりかと思います。

小生の印象に残った点は以下です。
・農業革命という世界観では、実は個々の人々の生活は狩猟生活に比べて苦しくなった。ただし、面積あたりの効率は上がり、人間全体としては人口が増えた。
・16世紀の科学革命の本質は「無知の知」。それまでの世界観は「何でも知っている。先人が言ってないことはあるが、それは重要でないからだ」だった。
・帝国とは、異なる規範/価値観を束ねる概念。「知らないことがある」という点で、帝国と近代科学とは共通している。帝国化によって、自国の住人殺戮は起きるが、それでも殺人/争いで死ぬ人の割合は実は減っている。
・人間至上主義には「自由中心」「平等中心」「優生中心(ナチス等)」の3種ある。
・セロトニン、ドーパミン、オキシトシン等が、生化学的な幸せの本質。ただし、長くは続かせない(食べ物も食べなくなってしまう)。薬を飲んで幸せになる、ハックスリーの『素晴らしい新世界』が典型。
・仏教は、「幸せは、外の環境だけではなく、自分の感情とも関係ない」という宗教。

 世界感がミームであると認識できた今日、本書は、「私たち人間は、何を望みたいのか?」という問いで終わります。たかが世界観、されど世界観。

とにかく読むのに時間がかかりました。
長くて難しいということもありますが,それだけの理由からではなく,
途中いろいろと考えさせられるからです
筆者の説明を読んで自分の知識や体験をそれにあてはめて検証する
というようなことをやっていると,先に進んでいけません。
ただし文章自体は読みやすいです。
難しそうな話も,比喩や事例が豊富でとてもわかりやすく読めます。
最初のほうにある「種」の説明から始まる生物の系統の話からして面白い。
馬とロバが別の種であるという説明(両者は進んで交尾をしない)から始めて
進化の系統が同じなのか異なるのかという話をさらりとこなし,
種と属と科の違いをその流れでさわやかに解説し,
そんでもってホモ・サピエンスの仲間についての話を
ひょいひょいひょいと進めていきます。講談のようだ。
人類は神話を共有したからこそ,生き延びてきたというのは面白いですし,
それが結局,仲間意識や差別意識,ゆくゆくは帝国主義,資本主義,消費主義へと
連なっていく。
極端な話,この本を読む前と読んだ後では,
世界が違って見えますね。
良い本を読むことができました。

サピエンス全史という壮大なタイトルで上下巻ありとなると、手に取るのをためらうが、いざ読み始めると読みやすいし、斬新な解釈が多々あって興味深く読み進めることができました。これは一読の価値がある名著ですね。

まず第一部の「認知革命」が刺激的だ。数多くのヒト科(ホモ)の中で我々ホモ・サピエンスだけが残った理由が、ホモ・サピエンスが神話など虚構を信じる力を有していたからというのが面白い。ネアンデルタール人は同等に近い知能はあっても、しょせんその結びつきは血縁・知縁の数十人単位にとどまったことに対し、神話を共有できるホモ・サピエンスはもっと大きい集団を構成することができ、それによりネアンデルタール人など他の人類を打ち破ることができたというわけだ。

そしてこの神話は宗教という直接的な形だけではなく、様々な社会制度という形で現代社会にまで続いていく。著者によれば民主主義や共産主義といった政治形態や、身分制度、通貨を基軸とする金融制度など現代の社会を構成する制度の大半は、客観的な現象ではなく、人類が共有する主観的なものだという解釈は斬新だ。

このように考えると、例えば自由・平等・国民主権など現代では人類の普遍的価値と自分が受け入れている価値観も、現代の生み出した神話にすぎず、未来の社会ではまた新しい神話が生まれても何の不思議もないという気分にさせられた。

しかしながら、話がクドイ。同じ話を上下巻で、何度もされてるので、めんどくさくなる。
一応最後まで読みましたが・・この作者の言いたい事は、ほぼ最後のページなんでしょう。

物心ついたときにかけられた「世の中がすべて歪んで見える」という魔法を解かれたような気分になる本だ。

私たちは自分たちが唯一の人類だと思っているが、ホモ・サピエンス以外にもホモ属には現生人類の祖先になりえた人類はいくつもあった。しかし7万年前に「何か」が起こって、それらの人類はその後5万年余りをかけてホモ・サピエンスに一掃されてしまった。その「何か」が、サピエンス特有の言葉の発明によってもたらされた「認知革命」である。人類の言語は噂話のために発達したという説があるそうだが、「噂話」というまさに本当だか嘘だかわからないことを伝えたり受け取ったりするなかで、目の前の客観的現実とは別の想像上の現実が人類の脳内に出現したのである。サピエンスはその柔軟な脳で二つの現実を自由に往復しながら加速度をつけて地球上に拡散していった。その往復運動の原動力となったものが「神話」である。

他の人類を地上から一掃したあとさらにサピエンスの歴史を前進させたのが「農業革命」だった。農業革命が福音だったのか災禍であったのかは議論の分かれるところだ、と本書では二つの仮説が併記されている。が、いずれにしても農業革命によって、サピエンス人口は爆発的に拡大し、その結果、数十人から成る生活集団で何百万年も暮らしてきた人間の本能の追いつかない部分を神話のパワーが補った、というのが本書の主張するところである。サピエンス以前、人類は他の動物と同じように「群れ」で暮らしており、それぞれの「群れ」は縄張り争いこそすれ、遠方までわざわざでかけていって見ず知らずの群れを侵略するようなことはしなかった。しかし神話のパワーによって、人類は見ず知らずの人とも協力できるようになり(ということはつまり敵対するようにもなり)、他の動物にはつくれなかった帝国を築き上げた。そこからダイバーシティや官僚制度といった、人類独特の価値や仕組みが生み出された。

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