HiGH&LOW THE MOVIE の感想

なんというか……いろいろネタ満載のおもしろ映画。

まずストーリー。
あらすじにある通り、ヤンキー連合とマフィアが街の覇権をめぐってドンパチ……という、
血で血を洗うバイオレンスな映画かと思いきや、この群像劇の主人公となる地元ヤンキー軍団らの戦う動機は
「仲間を助けなきゃ！」「義理の妹を助けて！　血はつながってないけど家族なんです！」
「俺たちの街を守らなきゃ！」とまあみんないい子たち。ラストあたりも
『闇落ちした伝説の初代総長を救い出すために手を組むヤンキー連合軍が500人のマフィアに立ち向かう……』
って感じで、ストーリーだけ見ると登場人物がみんなピュア過ぎて
まるで『プリキュアオールスターズ』みたいな。

そして、そのプリキュアみたいなお話の流れるビジュアルがまたスゴイ。
舞台となる『SWORD地区』の一角が襲撃されるシーンがあるんだけど、スラム、というか廃墟。
スプレーでグラフィティ描かれまくりのコンテナ地帯に、ネオン看板の古びたディスコ。
もうね、普通の人なら絶対近付かない。視界に入るのさえ避けるレベル。
集まるヤンキー軍団もメインのノーヘルチョッパーバイク集団はほとんど暴走族だし、
アーミーカジュアルのパルクール集団、白装束のビジュアル系ビグスク集団、
アメ車のボンネットにソファー座りしたまま敵地にカチ込むハッピ集団に、
ダンプにみっしり乗り込む学ラン集団（ちなみにチーム名は『鬼邪高校』と書いて『おやこうこう』笑）とか
全員見るからにヤバい世紀末味あふれる人たちばかり。

そしてアクション。まあ本編の間、だいたい殴り合ってる。
普通に話してる方が少ない気がするくらい殴り合ってる。
でも、そこはヤンキー同士のケンカ。基本は拳と拳、銃も刃物もほとんど出てこない。
（一部マフィアの襲撃を受けるシーンで刃物出す奴がいるけど、そっちが例外）
血もドバドバ出たりしないで、顔殴られて口切った程度で、
目腫らしたり青タン作ってたりの方が多い。なんかやさしい世界。