基本講義 債権各論〈1〉契約法・事務管理・不当利得 (ライブラリ法学基本講義) の感想

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参照データ

タイトル基本講義 債権各論〈1〉契約法・事務管理・不当利得 (ライブラリ法学基本講義)
発売日販売日未定
製作者潮見 佳男
販売元新世社
JANコード9784883841455
カテゴリ社会・政治 » 法律 » 暮らしの法律 » 法律入門

購入者の感想

同じく潮見先生の民法(全)と異なり、2017年民法改正での重要事項はその旨明示されています。
民法全範囲ではないものの、改正部分を含めた契約法関係についてある程度の深さで勉強したい方にはうってつけです。
全範囲の改正部分を知りたい方は、潮見先生が書かれる「民法(債権関係)改正法の概要」を待つとよいでしょう。
改正民法の施行は3年後の予定なので、資格試験などで用いられるのはしばらく後のことと思われます。

たとえば、48頁、契約の解除の効果について。「(判例・通説の立場である直接的効果説のことを指して)この理論からは、解除による…復帰的物権変動を語るのは矛盾です。」としています。
たしかにそのような学説は有力ですし首尾一貫していて論理的なように思えますが、他ならぬ判例が直接効果説を取りながらも実質的に復帰的物権変動構成に依っているのです。(最判昭35・11・29民集14巻13号2869頁)
しかも前掲最判は、本書47頁でも直接効果説の説明として引用しているのです。にもかかわらず、前掲最判の判旨である復帰的物権変動構成にまったく触れていないのです。
これはアンフェアです。初学者教育で判例を紹介する事もなく自説を教え込むのは教育ではなく洗脳のたぐいです。

判例に反対する本がダメだとは思いませんが、判例を無視したり恣意的に引用したりした上で、判例の考えを否定するのは、初学者向け教科書を標榜する書籍としていかがなものかと思います。
また、簡単に、判例は矛盾していると指摘する前に、判例の内在的理解を試みてどうにかして整合的に語ろうとすることが教科書には求められるんじゃないでしょうか。

他にも同じような我田引水の記述がないか、注意して読もうと思います。

よいところは、そのものずばりの論点が書いてあるので、無駄な時間を費やす必要がない。これが最大の利点。要件事実というか主張立証についても最重要のパターンについては二色で書いてあります。だから代表的な争点は拾ってあります。
司法研修所刊の二冊の問題集(類型別+入門)が触れている解釈の違いも織り込んでありますので、最小限は、これでOKです。これは筆者の教育的配慮なのでしょう。

★ 短答は、これ+判例六法(有斐閣)で十分に得点できます。満点行くんじゃないですか。論文は、ローの講義演習があればこれだけでもOKですが、自学の予備試験とか司法試験には足りないと思います。
  ほかの何かで補うことになるんでしょうけども、工夫してくださいとしかいいようないです。

文章も読みやすいので、とても早く読めます。

欠点は、薄くてズバリの書き方なので、かなりの大中小の重要論点が落してあることです。やはり内田2のほうが実際の判例はくわしいし新しいです(ただし内田は賃貸借が実にわかりにくい)。
山本は、賃貸借は非常に詳しいです。完全に独走中。

内容の力の入れ方は、京大ローで教えている著者の経験による取捨選択ですが、賃貸借とか請負は、判例が足りません。というか、冒険してありません。
また、いたるところに、これ以上は債権総論で学んでくださいなどと書いてあるのですが、これがかなり面倒くさい。やっぱり本書に書いておくべきでしょう。

★ ところで、いまもってる民法のテキストを、全部床から積み上げてください。50センチぐらいすぐでしょ。
  しかし受験の場合は、憲法行政法その他大勢があって、たくさんは絶対に読めません。憲法行政法民法民事訴訟法民事執行法保全法会社法手形小切手法総則商行為刑法刑事訴訟法で、床から積み上げて60センチ以内に抑えてください。
  民事実務と刑事実務も織り込んであるテキストを最初から読むべきです。

★ したがって、本書が「薄い」というのは非常に重要です。ところが、債券各論の分野では、司法試験用のテキストは、選択肢が限られています。

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新世社から発売された潮見 佳男の基本講義 債権各論〈1〉契約法・事務管理・不当利得 (ライブラリ法学基本講義)(JAN:9784883841455)の感想と評価
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