弱いロボット (シリーズ ケアをひらく) の感想

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参照データ

タイトル弱いロボット (シリーズ ケアをひらく)
発売日販売日未定
製作者岡田 美智男
販売元医学書院
JANコード9784260016735
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

本書は医学書院の「シリーズ ケアをひらく」の1冊である。
当初医学書専門出版社の単行本で「ロボット」というのは違和感があったが,
読後には合点がいった。

この本は一般にいうロボットの専門書とは明らかに異なっている。
技術的な内容は皆無。マニピュレータの話もネットワークの話もないし,
もちろん数式は一切出てこない。
端的に言うとこれは「弱さの力」について書かれた啓蒙書なのである。
弱さには力がある。弱い部分を強みに変えよう
――この一見よくわからない思想は,介護にも通じる。
被介護者など「弱い立場」の人がどうあるべきか,
いや当人だけでなく弱い人が必ず存在する社会全体がどうあるべきか
まで示唆した内容になっている。
誤解を恐れずに言うと,
弱さや頼りなさは,周囲の助けを引き出す力を持つ
ということである。

医学・看護・介護の視点から捉えれば,従来,
筋力の弱くなった人,身体の不自由な人への対策の多くは,
可能な限り筋力をつける,極力身体を自由にする
ということであった。
弱い部分をなくして,本人の独力で行動させようとする考えが基にある。
これに対して弱い部分を強みに変えるということは,
弱さをなくすのではなく,残したまま,
周囲の力を借りて目的を達成することをいう。
借りやすくするためにどうするかが,本書ではロボット研究を通じて
示されている。

弱い人に変化を求めない。
弱い部分はそのままで,周囲を巻き込めば問題は解決するという発想。
この実現には当然社会全体の人々の意識の変化が求められよう。
しかし今後,より充実した福祉社会を目指すわが国が,
進むべき唯一の方向ではないかと感じた。

実は本書は介護の枠だけに収まるものではない。
そもそもこれは「人間追究」の本であり,人間を発見する本でもある。
筆者の鋭い観察眼によって,私たちの無意識の行動にも
意味を持たせてくれるのが愉快である。

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