記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門 (講談社選書メチエ) の感想

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参照データ

タイトル記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門 (講談社選書メチエ)
発売日販売日未定
製作者谷口 忠大
販売元講談社
JANコード9784062585804
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

裏表紙に「工学と哲学を架橋する」と書いてありますが,
「過去の哲学を叩き潰す」というぐらいの勢いを最終章では感じました.大変好ましいです.

本書の趣旨は「記号創発システム」としての世界の捉え方を広く伝えることにあるようです.
おそらく初見ではすんなりと把握しづらい世界観でしょうが,優しく丁寧な解説だったので,門外漢でも最終章まで問題なくついていけました.
いや,「ついていく」とういよりは,「頭の中のマッピングが再構築されていく」,「新しい方向への広がりが見えてくる」,と言った方が近いかもしれません.
「学問」「研究」の醍醐味でしょう.

章立てもよく考えられていました.
前半~中盤の章では,具体的事例としてロボットの知能を作っていきながら,徐々にその複雑さや抽象度を上げていきます.
基本的に一般的な数理モデル(本書中では模式図だけ)なので,対象はロボットにかぎらず,「あれにも似てる」「これにも使えそうだ」と色々類推が捗ります.
終盤の章では,上記のような類推が「構成論的アプローチ」として詳しく解説され,そのアプローチを適用すべき対象としての「記号創発システム」について語られていきます.

「自分で読んで,自分の世界を踏まえて,自分の中で意味付けをする」 という本書で述べられている趣旨をメタに体験出来る良書でした.

新進の若手研究者によって書かれた2010年代に
ふさわしいロボティクスの解説書。

構造的アプローチによってロボットに
知性を持たせることで、人間の心や知性の
理解を目指している。

5章までは大変興味深い最新の実験結果を示している。
人間の子供がいかに概念を獲得するかを
ロボットを使って再現したのだから驚きだ。
また対話を重ねることによりロボットと人間の
間に共感まで生まれてくる。

さてロボットと人間の違いはどこにあるか?
著者ははじめにとさいごにで明確には述べないが
人の心の存在に懐疑的になっているのがうかがわれる。

すなわち心はないということだ。
これは言いすぎだが、心はセンサーと記号とメモリによって
創発されたもの(これもニュアンスがちょっと違うが)、
もしくは静的な計算前後の動的な過程(センサ、記号やメモリ間
の相対的な変化)といってよいだろう。

ここからはレビューアーの意見である。
ショーペンハウアーは世界は表象であると
述べた。表象は因果に従う。よって自由意思はない。
これは最近の脳科学によって明らかになった。
これは入力に対して必ず決まった出力があるということだ。

動機は脳の構造に由来する決定したものだ。
(もちろん可塑性があるが、これだって
因果によって変化する。)
よって警察は動機を重視する。
そして彼は物は意志だといった。
意志は目的を知らない盲目の努力だと言った。

熱力学に従えばエントロピーは増大する。
これが盲目の努力がどこに向かうかを示している。
人類はいまクラスIの文明を目指している。
(地球上にふりそそぐ太陽エネルギーを
自在に使いこなす文明)
人工知能を持った優秀なロボットは、現在精力的に
研究されている他のテクノロジーに加え
このクラスI文明を実現するために重要なものと
考える。

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