前方後円墳の世界 (岩波新書) の感想
参照データ
タイトル | 前方後円墳の世界 (岩波新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 広瀬 和雄 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784004312642 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 歴史・地理 » 考古学 |
購入者の感想
古墳というのは教科書で習うから存在そのものは誰もが知っている。
しかし、古墳の名前を少し覚えるだけで、古墳の意味などを突っ込んで考えたことのある人は少ないだろう。
本書は、そういった古墳の意味を筆者の説も交えつつ大胆に展開していく。
日本の古墳は「見せるためのもの」で、韓国の古墳に対応するものと比べると、その差は歴然とするという。
どちらかというとピラミッドに近い役割を持っている。
古墳は共通の要所に築かれ、共同体の紐帯と階層性を同時に体現させるものだっただろうとする。
また、古墳の中の装飾等から、筆者は古墳時代の生死観を、霊肉分離であの世と往復可能と認識していただろうと論じる。
古墳の日本列島同時多発は謎の一つだが、その同時多発性から「大和政権の東国の段階的支配」という見方に疑問を唱える。
弥生時代に古墳のないエリアにも前方後円墳は生まれるし、前方後方墳の地域もモザイク的に存在する。
筆者は既存の見方である「古墳時代は律令制の前史」という見方を批判する。
そうではなく、古墳時代と律令制は全く異なる価値観による国家設計なのだという。
古墳時代は人(首長)と人のつながりの統治、律令制は制度による統治であり、前者を否定して後者は生まれるが、どちらが優位というものでもない。
個々の議論が多くて全体像がややつかみにくいが、そもそも全体像のよくわかっていない古墳時代の話だからそれは仕方がないのだろう。
その中では強く踏み込んで説を唱えていて、なかなか面白い
しかし、古墳の名前を少し覚えるだけで、古墳の意味などを突っ込んで考えたことのある人は少ないだろう。
本書は、そういった古墳の意味を筆者の説も交えつつ大胆に展開していく。
日本の古墳は「見せるためのもの」で、韓国の古墳に対応するものと比べると、その差は歴然とするという。
どちらかというとピラミッドに近い役割を持っている。
古墳は共通の要所に築かれ、共同体の紐帯と階層性を同時に体現させるものだっただろうとする。
また、古墳の中の装飾等から、筆者は古墳時代の生死観を、霊肉分離であの世と往復可能と認識していただろうと論じる。
古墳の日本列島同時多発は謎の一つだが、その同時多発性から「大和政権の東国の段階的支配」という見方に疑問を唱える。
弥生時代に古墳のないエリアにも前方後円墳は生まれるし、前方後方墳の地域もモザイク的に存在する。
筆者は既存の見方である「古墳時代は律令制の前史」という見方を批判する。
そうではなく、古墳時代と律令制は全く異なる価値観による国家設計なのだという。
古墳時代は人(首長)と人のつながりの統治、律令制は制度による統治であり、前者を否定して後者は生まれるが、どちらが優位というものでもない。
個々の議論が多くて全体像がややつかみにくいが、そもそも全体像のよくわかっていない古墳時代の話だからそれは仕方がないのだろう。
その中では強く踏み込んで説を唱えていて、なかなか面白い