ナイフの行方 (単行本) の感想

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参照データ

タイトルナイフの行方 (単行本)
発売日2015-06-22
製作者山田 太一
販売元KADOKAWA / 角川マガジンズ
JANコード登録されていません
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 戯曲・シナリオ » 日本

購入者の感想

わたしはこのドラマを観たのだが、観ないでシナリオを読む人が羨ましい。
真っ白な気持ちで想像豊かに読めるだろうから。

まずタイトルに驚くだろう。「ナイフの行方」→事件。山田太一が?殺人?ありえない。なんだろう?と思う。
ナイフを持っているのは若者の次男(今井翼)だが、よりミステリアスなのは老人の根本(松本幸四郎)だ。会話にもあるが、何者?と思わせる。若者に親切かと思うと冷たい態度。何を抱えているのか。
この疑問は後編まで解決されない。複雑で孤独な男。家政婦(相武紗季)が連れて来ている3~4歳の女の子への愛情が生活のさみしさを想わせる。

もちろん会話の妙は醍醐味だ。
例えば前編での丹波(津川雅彦)と次男の会話。根本との会話とはテンポがまるで違って弾むようだ。演者を想像しながら読むのもいい。

ミステリ味に驚いた前編だが、後編のいわば解決編では、会話に「チェ・ゲバラ」が出てきて、革命も?と驚く。そして一気に語られる想像できない物語。
ありえない!しかし、人間はありえないことも成しうるのだ。

このドラマは2014年の12月に放送された。
私たちがISILの残酷な映像に慄然とするのはそのあとだ。戦後70年の歴史の検証が盛んにされるのもそのあとだし、政治の理不尽さが国民の目に明らかになるのもそのあとだ。まるでこのドラマはこれらを予言していたようではないか。

山田太一本人による解説は、ある意味では戦後史そのものであり、正義というものについての回答である。

人物の動きを想像しながら読めるだろうから。演出に興味がある方ならなおさらだ。
より楽しむためには、ト書きにをも細心の注意を払って読むとよいと思う。

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