‘THE SCRAP’―懐かしの1980年代 の感想

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参照データ

タイトル‘THE SCRAP’―懐かしの1980年代
発売日販売日未定
製作者村上 春樹
販売元文藝春秋
JANコード9784163412801
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日本のエッセー・随筆 » 近現代の作品

購入者の感想

古い雑誌から集めたスクラップを読み返すような感覚の本です。
1982年〜1986年まで文芸春秋社の発行している「スポーツグラフィック ナンバー」に連載された小文です。
エッセイというジャンルに入ると思いますが、海外の雑誌を村上さんが読んでそれを紹介するという内容です。
これに、東京ディズニーランド訪問記とロサンゼルス・オリンピック体験記(ロサンゼルス・オリンピックの時に何をしていたか、という内容で、全然オリンピックを見ていません)が加えられて一冊になっています。
村上さん自身こんなに長い連載は珍しいとお書きになっています。それは、書くのが楽しかったから、ということです。
最初から何回目位から村上さんのリズムになっていった印象です。
個人的には、ナンバーはよく読んでいましたので、ところどころ、あれっこれ読んだことある、といった記事も見つけられてちょっと嬉しいものがありました。
雑誌記事は、その時々の旬な話題を提供してくれますので、読んでいるうちに1980年の前半の記憶が甦ってきます。
80年代後半は日本がバブル経済に突入しますから、前半と後半は様相が異なります。

最後の最後にロサンゼルスオリンピックの男子マラソンで瀬古さん負けたエピソードが掲載されています。
そこで村上さんにしては珍しく「日本のマスコミのオリンピック騒ぎはいつもながら異常だと思う」「マスコミ攻勢の集中豪雨的なものすごさにはほんとうにうんざりする」「もし心から瀬古に勝ってほしいと思うのならどうしてもう少しそっとしておいてあげられなかったのか?高校野球にしてもオリンピックにしても、もうそろそろいい加減にしてほしいと思う」
とマスコミの過熱報道ぶりを戒めたコメントで締めくくられています。
その後のオリンピックの度に同じことは繰り返されています。
オリンポスの神々に畏敬の念を抱いている多くの人々の気持ちを表していると思い、ハッとさせられました。

 村上春樹のエッセイ集。

 村上のエッセイというと 村上朝日堂シリーズが名高いわけで 本書はどちらかというと ニッチな部類に入るかと思う。米国の雑誌を村上が好きに「切り抜いて」きてくれて 適当に解説をしてくれる本だ。村上自身もリラックスして書いている様子が良く分かって 読んでいるこちらも 心が和む。そう 村上のエッセイは 人を和ませる点では 第一級なのだ。

 巻末のロス五輪日記は更に楽しい。瀬古利彦が負けた男子マラソンは 1985年の8月の事だった。小生も大学生だった。もう20年以上前なのか。

 村上のマラソン好きもこの辺りから始まっていることに今気がついた。

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文藝春秋から発売された村上 春樹の‘THE SCRAP’―懐かしの1980年代(JAN:9784163412801)の感想と評価
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