The Big Short: Inside the Doomsday Machine の感想

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タイトルThe Big Short: Inside the Doomsday Machine
発売日販売日未定
製作者Michael Lewis
販売元W W Norton & Co Inc
JANコード9780393338829
カテゴリ洋書 » Subjects » Nonfiction » Economics

購入者の感想

「米国金融インフラそのものに対して『空売り』という勝負に挑んで勝った男たち」というテーマでは類似本が既に先行しています(『The Greatest Trade Ever』)。さあ、どうする、マイケル・ルイス…なんですが、導入から最終章まで、見事な語り部ぶりでした。
債券市場ましてや抵当債券市場ではシロートに近い若きヘッジファンドマネージャーたちを案内役に展開する様が秀逸。大投資銀行からは歯牙にもかけられない存在である彼らは、不思議の国のアリスの役割も果たしてくれます。そういえば、「株式市場と違って債券市場は(活発な市場がある政府債でもない限り)値段が分からない」という基本中の基本を前もって素人読者に教えてくれる著者さんに私は感動しました(まずこの事実を読者に言ってくれた金融危機本があったろうか?この著者が初めてかもしれない!)。やがて「the big short」に辿り着く彼らが抵当債券市場という暗闇を一歩一歩苦労を重ねて踏みしめながら、「米国金融インフラの詐欺性」にいちいち目を剥いていく過程が実に具体的で金融スリラーのような趣があります。CDOの存在に仰天し、その中にCDSが仕込まれていることに腰を抜かしと。彼らは初めて世界を発見する子供のようでもあります。「この世界はこんなにも腐敗していたのだ!」と。
誰も読まないような怪物証券のプロスペクタスを何年も一人で読み続けたマイケル・ベリー。ウォールストリートをゴッサムシティに見立て、自分はバットマンになってやる!と義憤に燃え続けたスティーブ・アイズマンetc。登場人物たちは『The Greatest Trade Ever』のジョーン・ポールソンよりも気質的にも実際的にもさらにアウトサイダー的であり、正直、人間としても彼らの方が面白い。最終章ではJohn Gutfreundとの二十年ぶりの邂逅場面が登場します。八十年代のウォールストリートには「My word is my bond」的な金融マンの矜持がまだ幾ばくかはあったのだ、と語る著者のノスタルジアが不思議と胸を打ちました。

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