ブーレーズ作曲家論選 (ちくま学芸文庫) の感想
参照データ
タイトル | ブーレーズ作曲家論選 (ちくま学芸文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480092373 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
笠羽映子氏が編んだブーレーズが所々に寄稿した作曲家論は刺激的である。それらは、恐らくシェーンベルクについての「シェーンベルクは死んだ」とストラヴィンスキーについての「ストラヴィンスキーは生きている」であろう。しかし、これらの論考はなかなか難解で読み通せない。一方、残りは過去の大作曲家たちの作品について優れた見識を述べたものである。こちらは、既知の作品について述べられているので、比較的読み易い。批評子にとって新鮮な指摘は、ヴァーグナー、ベルリオーズそしてドビュッシーに関しての論考であった。ヴァーグナーでは「パルジファル」が「トリスタン」と並ぶ重要作品で、人間存在についての根源的な問いかけを可能にすると。さらに、前者では第二幕が名の呼びかけと口づけで自らが誰であるのかを把捉することができたからと。さらに、ドビュッシーでは、この作曲は、「ペレアス」の後に決して次の意欲作「アッシャー家の崩壊」を完成させることは出来なかったと指摘する。なぜならば「ペレアス」の再版になるからと。
したがって、音楽ファンには紋切り型に音楽を聴かないようにするための絶好の書であると言える。
したがって、音楽ファンには紋切り型に音楽を聴かないようにするための絶好の書であると言える。