On Photography の感想

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ゾンタグの写真論には言葉で映像に対決する、という姿勢があります。ジュディス・バトラーが2009年に出したFrames of Warで、アブグレイブ刑務所の写真についての章で、このOn PhotographyとRegarding the Pain of Others、それからゾンタグ自身が死の直前にNYタイムスに寄稿したアブグレイブ写真についての論考について考察していたのが、大変面白かったので再読しました。ゾンタグには文章と写真のどちらが優れているか、と考えるようなところがあって、それをバトラーは批判していましたが、たぶん追悼の意味もあったのか、大変尊敬して書いているように伺えました。近代化と資本主義、写真という物の捉え方、眼差しが対象をモノとしてしか扱わないということ、これらはゾンタグにとって、互いに切っても切れない関係にあります。だから彼女はダイアン・アーバスの真剣さを認めていても、アーバスのものの見方に厳しい評価をします。アントニオーニの文革のころの中国のドキュメンタリー映画についてもそうです。この映画、当時は中国当局に糾弾されましたが、ゾンタグが亡くなるころ、当局は評価を改めて、アントニオーニを表彰しました。今や広告だらけで日本のものと変わらない中国のビデオシェアサイトにアップされていたりします。こういう時代だからこそ、もっと読まれて良い本だと思います。