水木しげるの古代出雲 (怪BOOKS) の感想

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参照データ

タイトル水木しげるの古代出雲 (怪BOOKS)
発売日販売日未定
製作者水木 しげる
販売元角川書店(角川グループパブリッシング)
JANコード9784041101421
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

大和政権と対立したもうひとつの神々の系統、出雲王朝については、すでに古代史の中でも語られていますが、本書は水木しげる氏が、夢にあらわれる古代青年のうながしと、みずからの故郷に近い島根への思いをこめて、この歴史ドラマを熱く語ろうとしたものです。

前半は古代出雲王朝が、アマテラスの子孫に国を譲った「国譲り」にいたるまでを、『古事記』の記述に従い、イザナギイザナミの国生みの物語からはじめて、水木しげる氏が面白く、飄々とした独特のユーモアをまじえて綴ってゆきます。
スサノオからオオクニヌシにいたるまでの神々の事績は、神話どおりに七章まで語られます。ところどころに水木氏も登場し、ここまでだけでもテンポよく、ひきこまれます。

ところが八章からは、「謎の古代出雲青年」が30年前から夢にあらわれて、自分たちのことを書いてほしい、と水木氏に訴えた話を受け、天孫族とは何か、国譲りとはほんとうは何だったのか、敗者の無念、歴史の勝者が神話におおいかくしていった裏側のドラマが語られはじめます。前の章には、古代出雲を研究する梅原猛氏も登場していますが、オオクニヌシという出雲の覇者は穏便に「国譲り」をしたのではなく、中央政権に敗れ、次男タケミナカタは諏訪におちのび、諏訪大社の神となるなど、永くその怨念は残ったという話です。崇神天皇、垂仁天皇が出雲族の怨念を恐れ、大きく高い社を建立する話など・・・歴史の大きなうねりの底ごもるような音が聞こえてきます。

 平成12年に発掘された心御柱をもとに、再建された出雲大社本殿は、数年後に訪れましたが、その圧倒的な高さ、広壮な設計には驚かされました。本書は現代と古代をゆききしながら語られる、神話と歴史のはざまの物語であり、声高に何かを糾弾することもないのですが、水木しげるのふところの深さにあそぶことができます。
 近年、何かが自分を呼ぶとか、何かに書かされている、という発言が多くなり、ますます自在な境地に入られた水木翁ですが、本書もそうした物語として祖霊の言葉に胸をゆさぶられる気がします。

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