人間にとって寿命とはなにか (角川新書) の感想

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参照データ

タイトル人間にとって寿命とはなにか (角川新書)
発売日2016-01-10
製作者本川 達雄
販売元KADOKAWA/角川書店
JANコード9784040820507
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » 生物学

購入者の感想

 書店でパラパラと中身を見て買う際には、正直なところ余り期待していなかったのだが、読み終えてみると想像以上に面白く、ためになる本であるという感想を持った。

 本書は、「おわりに」によると、異なるテーマで著者が行った講演の記録をまとめて1冊にしたものとのこと。確かに各章のテーマは、ナマコ(著者の研究テーマ)(第一章)、生物多様性(第二、三章)、動物・ヒト・社会の時間(第四章)、子どもの教育とコンピュータの問題(第五章)、老後の生き方(第六章)、と一見ばらばらで何のつながりが?と思われるが、「時間」という視点でくくるとすべてが関連してくる。著者によると、現代社会は、車やコンピュータといった時間加速装置を駆使して、速い時間を作りだしている。また、本来人間は生物学的には41.5歳が寿命なのに、医療や上下水道、様々な技術によって異常な長生きができるようになっている。しかし、そのためには莫大なエネルギーが必要になり、そこから地球温暖化や生物多様性の減少を始めとした環境問題が生じているとのこと。また生物としての時間より遥かに速く進む時間を生きなければならないが故に、子どもたちの教育や能力の発達などにも大きな問題が起きていると捉えている。このあたりは、著者の大学教員としての経験も踏まえておりかなり説得力がある。最後に老後の問題を取り上げているが、この部分はかなり前向きで、50歳以降はいわば生物学的には本来得ることのできない「おまけ」の人生をもらったのだから、時間を自分の意思でコントロールし、次世代のために役立つことに使おうではないかと呼びかけている。

 著者の口車にうまく乗せられている気もしないでもないが、「時間」という視点で現在問題になっている様々なことがらを考えてみると確かに納得できる点は多いし、解決策も探れそうに思える。少なくとも、自分で色々と考えるための多くのヒントを与えてくれる本であると言えそうである。

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