SHERLOCK/シャーロック シーズン2 [Blu-ray] の感想

シーズン２Blu-ray版には、高すぎる価格への抗議として一つ星をつけたレビュアーがおられます。その抗議には完全同意です。ほんとに、価格設定に関してのみなら一つ星が妥当。海外サイトで輸入盤を買えば2,000円でおつりがくるんですからむなしくなります。

あえて内容に関してのみ星をつけるとすれば、星百個でも足りない！シーズン１のヒットで制作予算が大幅に増えたのか、第１話ではいきなりヘリコプターは飛ぶわバッキンガム宮殿（風の屋敷）でゴージャスなロケをしてるわ、主演のベネディクト・カンバーバッチはますますかっこいいわ、もうグレードアップしまくってます。
しかし、ドラマのコンセプトはすこしもブレてない。原作を絶妙に換骨奪胎しつつ、時にはコミカルなパロディもまじえて、シャーロックとジョンの冒険は展開していきます。ふたりの共同生活も２年がたち、２２１Bのフラットにわれわれも共に暮らしてきたかのようななつかしさと親しみをおぼえずにいられません。

「知性こそあたらしいセクシー」（Brainy is the new sexy.）
「僕には友だちはいない。ひとりしか」（I don’t have friends. Just got one.）

などなど、屈指の名セリフも。吹替えを楽しみつつ、DVDでは俳優たちの生の声でぜひ観てほしい。特に第３話『ライヘンバッハ・ヒーロー』の緊迫感と感動は、生音でこそ感じられるものだと思う。

第３話は原作の「最後の事件」をベースにしているので、原作読者には大まかな流れははじめからわかっています。にもかかわらず、サプライズの連続で目が離せません。ある意味、現代メディア社会への皮肉（特にイギリスはタブロイド紙の力が強いので）もこめられたきわめて秀逸な脚本です。

ホームズファン、ミステリーファンでなくても十分楽しめます。世界では、10代、20代の若者たちが「シャーロック」に熱狂し、コナン・ドイルを再発見しはじめるというすごいことにもなっています。日本でも、ぜひ若い世代に観てほしい。第３シーズンは2013年夏以降にイギリスで放送されるそうです。それまでの長い長い待ち時間、DVDを観てじっとガマンしようではありませんか（笑）