文藝春秋 2015年 08 月号 [雑誌] の感想

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タイトル文藝春秋 2015年 08 月号 [雑誌]
発売日2015-07-10
販売元文藝春秋
JANコード4910077010856
カテゴリジャンル別 » 雑誌 » 文芸・総合 » 総合

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少年Aの判決を下した、元神戸家裁少年部判事、井垣康弘氏の記載した文章に認められる司法の無責任さに私は驚愕した。

司法判断の基準になったのは鑑定医の鑑定書で、少年Aがマスターベーションの際に「人間の腹を裂き内臓にかみつき、貪り食うイメージ」を浮かべて射精することから、
「性中枢の発育が遅れて、暴力中枢が興奮すると射精するというメカニズムになっており」、これにより殺人と食人幻想による「性的サディズム」が殺人衝動に結び付いたとするものであった。
そして、それを引き起こしたのは、母親による、スパルタ教育による厳しいしつけとそれによる「愛着障害」であるとした。

そこで、関東医療少年院でプロジェクトチームを立ち上げて「赤ちゃんから段階的に育てなおし」て、全身で愛されているという、自己肯定感を獲得させることにし、
そのために女性精神科医のB先生に少年Aの母親役を担わせ「猟奇殺人犯を育てなおす」という世界にも類を見ない挑戦を行ったという。

2005年までは、篤志家のもとで暮らしていたが、保護観察期間を終えると、法律上の縛りがなくなり、Aは自由に生活するようになる。
そして、井垣氏は、B先生が支援を続けていると思い込んでいたが、彼らのもとから逃げ去り10年以上自分一人で生きていたことを今回、初めて知ったという。

そのうえで、(10年以上ひとりでカウンセリングも受けずに生きていたことも知らなかったにも関わらず) 井垣氏は、もしこの「育て直し」の試みが成功すれば、その時こそ、本当に、日本の司法の成功と言えると結んでいる。

ここで重要な点は、少年Aというサイコパスと考えられる事例について、司法判断がなされた2000年頭と、今日の間に、
精神疾患全般の病態の捉え方に科学的な「パラダイムのシフト」が起きた点である。

それは、様々な精神疾患の病態を、精神力学的な仮説で考えることが見直され、脳の正常な発達や、機能、神経伝達物質の産生や、シグナル伝達の異常が基本にあることが、
コンセンサスとして科学者の間で共有されるようになり、発達障害のようなものも脳の機能障害として理解されるようになった点であり、

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