美麗島紀行 の感想
参照データ
タイトル | 美麗島紀行 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 乃南 アサ |
販売元 | 集英社 |
JANコード | 9784087815832 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 |
購入者の感想
台湾って、こんなだったのか! 本書を通じ、自分がいかに台湾のことを知らなかったのか、日本のめんどくさそうな過去をに無意識的にスルーしてきたのかを思い知らされた。著者の乃南さんが随所でつぶやく「申し訳なさ」に共感しながら、一気に読み終えた。「23歳になるまでは、日本人だったんですよ」。目の前でそんなことを言われたら、どう返せばいいのか。あの戦争に至る前に、日本の植民地主義の時代があった。著者は、台湾中を歩き、人と会い、おいしい物を食べながら、そんな痕跡を丁寧にすくっていく。つらい日々を送ったであろう人々が、日本を責めるでもなく、恨み事を言うでもなく、基本的に親切で、時に親近感さえ漂わす姿に、乃南さんは「申し訳ない」と思う。まずは相手を知ることが、日本人として最低限の礼儀でしょ! そんな著者の声が聞こえてきそうだ。遅ればせながら、私もこの本をきっかけに、相手を知ることから始めたいと思う。それがひいては、自国を知ることにつながるのだ、と素直に感じさせられた一冊でした。