群狼の舞: 満州国演義三 (新潮文庫) の感想

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タイトル群狼の舞: 満州国演義三 (新潮文庫)
発売日2015-09-27
製作者船戸 与一
販売元新潮社
JANコード9784101343228
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説

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帯に大書された「国家を創りあげるのは男の最高の浪漫だ」はゲーテの『ファウスト』の言葉。長男太郎は時代に流され変身、次郎は次々と殺害と救済を繰り返し、三郎は軍規に忠実なあまり戦功を求める将校等からの怨嗟を浴び、四郎は遂に特高刑事殺害に至る。同時に東京霊験坂の家に起きた悲劇と太郎の家庭にも悲運が襲う。

満州国建国が引き起こした抗日運動の数が凄い。東北抗日義勇軍は実は日本の秘密工作員が頭目となったものだが、それ以外に鉄血救国軍(兵匪)、大刀会や紅槍会(宗匪)、抗日救国義勇軍や東北反帝同盟(鮮匪)、愛国義人団など。

戦前の新聞界の動きも興味深い。「わずか20万の発行部数だった読売新聞は柳条溝事件を持ちあげて対支強硬論を唱えることによって部数を伸ばし、いまや大新聞となった。東京日日新聞は・・・東京朝日新聞も・・・」p248。

熱河侵攻作戦後に「娘子軍を送れ」と奉天総領事館に通電した関東軍作戦参謀遠藤三郎とは、後に護憲運動と反戦運動と日中友好運動に献身した遠藤陸軍中将の若き日の所業。戦争は誰にとっても残酷である。

第一巻のレビューでも触れたが「会津若松」で何が起きたのか、再度短く言及されて疑問は増幅していく。

一点疑問は「コミンテルンから運ばれている武器」の一部に「突撃銃」が挙げられているが当時この概念はまだ存在しないので、自動小銃と混同したのではないか(p108)。

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