東京一極集中が日本を救う (ディスカヴァー携書) の感想

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参照データ

タイトル東京一極集中が日本を救う (ディスカヴァー携書)
発売日2015-10-22
製作者市川 宏雄
販売元ディスカヴァー・トゥエンティワン
JANコード9784799317747
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 日本の政治

購入者の感想

正しいことも書いてあるけど、物事のメリットだけに焦点を当ててデメリットは黙殺するので、税金などの巨費を投じて何かを作りたい政治家や役人にとって、この人の存在は都合が良いでしょうね。

例えばP.34、かねてからの東京一極集中への批判に対して「その諸問題は、完璧にとまではいわないものの、多くはもはや弊害とはいえないレベルにまで改善されている。」とあるけど、交通渋滞、通勤ラッシュ、地価高騰など『かつての懸案』だけを挙げて、さも論破しているかのように見せているだけ。差し迫った高齢者の激増による『これからの懸案』は無視されています。

この先、要介護者が確実に増えるのに土地に制約のある東京圏では大規模介護施設を建設できないのは重大な懸案ではないのでしょうか?

下流老人と呼ばれる家も貯金も身寄りもない単身高齢者の増加は社会問題にあたらないのでしょうか?

都市計画もなしに住宅を建てまくった結果、空き家が増え、まばらにスラム化していくのは無視できることでしょうか?

どれも東京に一極集中させた弊害です。しかもこれから深刻になっていきます。なのにP.169に超高齢化という懸案として触れておきながら、書いていることは「東京の高齢者には裕福な人が多い」ということだけ。

確かに一極集中は効率的だけど、良い一極集中と悪い一極集中は区別しないと。分かれ目は「永続性が担保されているか?」です。

東京の致命的な失敗は、経済効率最優先でその他の大事なことを置き去りにしてきたこと。本来なら中長期的な人口規模と年齢構成を見越して、病院、介護施設、保育所、貧困者向け公共住宅も作っていなければなりませんでした。そうしなかったために、東京圏はいよいよ数年以内にも機能麻痺を起こし、都市が自壊し始める兆候が出ています。

この著者の主張を真に受ければ傷を深めるでしょう。

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