原色 小倉百人一首 朗詠CD付 (シグマベスト) の感想

百人一首関連本は少なくないが、これほど視覚を楽しませてくれる本は
例がない。例えば：
001　秋の田の仮庵のいほの・・・暮れゆく晩秋の田園写真
017　ちはやぶる神代も聞かず・・・竜田川に浮遊する紅葉の鮮やかさ。
064　朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに・・・冬の宇治川の川霧と網代木
099　人も惜し人も恨めしあじきなく・・・後鳥羽院配流の地、隠岐　
いずれの掲載写真も素晴らしい。

平凡なカット写真では満足せぬ編集者の高い基準が感じられる。
更に歌の理解を助けるため，003　山鳥、006　かささぎ、025　さねかずら、
078　須磨の千鳥、081　ほととぎす　などの鮮明な写真がある。

語句・語法の解説も簡潔ながら必要十分。歌人相関図・歌枕地図もあり。

かるた競技に関心のある方向けに本格的な朗詠ＣＤ，かるた記憶ガイドまで
付くという至れり尽くせりぶりだ。

入門書としてはこれで十分と思うが、より深く知るために、
目崎徳衛著「百人一首の作者たち」、白洲正子「私の百人一首」
などを読まれるといいと思う。

風景って、眼で見るものだとばかり思っていました。
体の中からしみ込んでくる景色ってあるんですね。まさに、この情景は想像の美です。
ふわっと入ってくる想像の美って、何とも心地よい。
何度も何度も、書いたり、読んだりし、CDを聞きました。
作者の続柄がとても興味持たれます。
親子、兄弟、有名人の御曹司、配偶者
この人の子供なんかと・・・
清少納言、和泉式部、紫式部、赤染衛門などの活躍も・・・
とりわけ清少納言のきりっとした歌に惹かれました
行成と仲が良かったのも…ふたたび「権記」を読み始めました
CDが値打ちだと思います。新品の本がよいでしょうね。