生物の必修整理ノート 新課程版 (要点を書き込むだけで覚える) の感想

2012年学習指導要領の大幅な改定により，生物’T・’Uが生物基礎と生物に変更されました．
（アドバンスト科目の生物は2013年度高校2年からの科目です．）
物理や化学などの同じ理科科目の中では最も内容が拡張されたのが生物分野といっても過言ではありません．
実際に，新課程の教材を書店で拝見すると，生物分野の新課程の参考書がいかに少ないかがわかります．
これは，批判を覚悟に言えば，教育現場に立たれている教員や予備校講師レベルでもまだ咀嚼し文書化できていないということを意味しているのではないでしょうか．
そういう意味では他社に先んじて生物の教材を出した意義は大きく，出版社の気概を感じます．
ですが，，，，
やはり，先出にはそれなりのリスクがあります．誤植や間違いが散見されます．
私が気付いた点を少々挙げてまいります．
P49
（本書）UGGUGG・・・という塩基配列の場合には，バリン：グリシン：トリプトファン＝１：１：１のタンパク質ができた．
→実際はバリン，グリシン，トリプトファンのいずれかだけからなる3種類のポリペプチド鎖が得られる実験です．
これはトリプレットの読み枠により，UGG・・・GGU・・・GUG・・・の３種類の読み方がなされるからです．また，タンパク質とは一般に3次構造以上を取ったものをいうのでこの場合は単にペプチド鎖と呼ぶ方が正しいと思います．

P110
(本書)小脳が脳幹に分類され，延髄が脳幹に分類されていない．
→実際は延髄が脳幹に分類され，小脳は脳幹に分類されません．このページでは表の穴埋めとまとめで二度この間違いを犯しています．
もはや誤植ではない気がします．

P115
（本書）かぎ刺激について，繁殖期のオスが腹部が赤くない模型に対しての穴埋めの解答：求愛する
→これは，教科書や資料集では攻撃しないというのが一般的な解答です．専門ではないので詳しい方がいらしたら指摘していただきたいのですが，少なくともいままでこのような表現は見たことがありません．（模型でない，メスにならば当然求愛行動をとります．）