格差社会と大増税―税の本質と負担のあり方を考える (民主的改革のための経済学) の感想

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タイトル格差社会と大増税―税の本質と負担のあり方を考える (民主的改革のための経済学)
発売日販売日未定
製作者合田 寛
販売元学習の友社
JANコード9784761713850
カテゴリビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学 » 現代経済学

購入者の感想

 「財政健全化」への圧力が世界中で強まっている。G20は、不安定な財政を抱えていたのでは持続可能な景気の回復を妨げると言っているが、緊縮財政政策をきちんと行ったとしても、必ずしも問題が解決するとは限らない。増税したとすれば、増収税金による債務返済により国民購買力の低下が起こる。そして、返済を受けた人が、再投資にではなく、貯蓄に向かうと、そこでも消費の減少が発生する。貸出金利上げによるインフレ、社会保障供与の削減により捻出した資金の返済による政府支出減。これらの結果景気の後退が起こる。過大な負債が、維持すべき景気の回復を妨げる前に、緊縮財政自体が景気回復の芽を積んでしまうのだ。
 このカンヌ金融サミットでの野田総理大臣発言は、「日本は, 2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げることなどの方針を定めた社会保障・税一体改革成案を具体化し,これを実現するための所要の法律案を2011年度内に提出することにコミットする」というものであった。この乱暴な国際公約は、今回は何が何でも消費税の10%への引き上げを実現するのだという政府・財界の決意を強く感じさせる。必要な税金の公平、公正な負担は積極的に引き受けなければならない。しかし、その為にはできる限り早く、今何が起こっているのか、どうすることが求められているのかを分析することが必要である。このことに国民が、どこまで本気で取り組むことができるのかが問われている。その為には学ぶことが必要だ。そして、この本は、正にその目的にふさわしい内容を持っている。
 「社会保障・税一体改革成案」(以下、「成案」)の考え方は、従来は、医療、介護、年金の高齢者3経費の「機能強化」のために必要となる限界資金を消費税で調達するという考え方に立っていた。しかしそれでは必要となる増税額が小さすぎる(1%程度の増税で間に合う)ということで、成案は、対象となる社会保障項目を社会保障給付公費負担公費全体に広げ、さらに、予算期間の限界増加社会保障負担から予算期間の社会保障費全体に、消費税によりカバーされる社会保障経費の範囲を広げて計算したのである。これで46.5兆円増税、消費税率17%までの口実ができた。

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