評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」 (朝日文庫) の感想

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参照データ

タイトル評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」 (朝日文庫)
発売日2014-06-06
製作者横田増生
販売元朝日新聞出版
JANコード9784022617989
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

ナンシー関、生きていればいま50歳だ。AKB48について彼女ならどんなことを書いただろう。東日本大震災後の世相を彼女ならどんなふうに見ただろう。没後10年以上がたっても私たちはまだ「ナンシーだったら何と言う?」をひとつの価値基準として手放すことができない。それに代わるものも出てきていない。この評伝を読んでその事実を再確認した。ナンシー関という人物について、それほど興味を持っていたわけではないし、読んでいたのは「消しゴム版画家」という肩書のコラムニストとしてメジャーになってからの文章だけだったけれども、この本でナンシーの芸の成り立ちを知るに至り、「ナンシーだったら何と言う?」という価値基準が、自分のなかに改めて決定的に埋め込まれた。

最初に断っておくと、まちがいなく労作だ。青森まで足を運び、多くの関係者に取材したのは素直に称賛できるし、通常の評伝とは異なる独特の構成も目を引く。そもそも、「ナンシー関の評伝を書こう」という企画自体が素晴らしい。
ただし、いくつか引っかかってしまった部分もある。まず、著者の文章が読みにくいこと。はっきり言って、文章がうまくない。また、ナンシーのルックスに過剰な意味づけをしようとしていること。早い段階で結婚よりも仕事を選んだことには、確かにそのルックスも大きく影響していたかもしれないが、肝心の「仕事の内容」とはあまり関係ないだろう。仮に彼女が結婚していても、同じような業績を残したと思う。
そして、コラムニストとしてのナンシーを考察するばかりで、消しゴム版画について関心が低いこと。著者が考える以上に、ナンシー関の消しゴム版画は読者に対して大きな威力を持っていたのではないか。彼女が「コラムニスト」でも「テレビ評論家」でもなく、「消しゴム版画家」と名乗っていたことの意味をもう少し考えてほしかった。
辛口でゴメン。

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