人生解毒波止場 (幻冬舎文庫) の感想

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参照データ

タイトル人生解毒波止場 (幻冬舎文庫)
発売日販売日未定
製作者根本 敬
販売元幻冬舎
JANコード9784344415775
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » な行の著者

購入者の感想

若い時分、根本さんの漫画には手が出せなかった。ヘンな漫画は読んでる方だったけど、あの画風は私を拒絶しているように感じた。それで根本さんのエッセイも避けていたのだけど、読んでよかった。解毒されました。

このエッセイは根本さんが人にインタビューしたり、人について語ったりしているものですが、その「人」というのが、普通とか一般とかの範疇からは外れている人で。世間の常識的とか倫理的とかの方からは弱者をバカにしていると言われそうな内容。でも、ちゃんと読めばそんなことは全くなく、根本さんの愛をもった安定した目線で語られる人々の姿には感動さえする(、ちょっと言い過ぎ)。

最近(でもないか)、ある範疇の人達への世間の対応は臭い物に蓋を通り越して完全無視・存在否定。彼らが自分の領域に入ってきたらその領域でしか通用しないはずの論理で過剰な力をもって攻撃する。いや、攻撃というより自分の狭い領域をそれに比例した狭い考えで目の色を変えて防御する。

そんな人たちが多くなったこの世の中で、根本さんのエッセイを読むと本当にすっきりする。でも、一服の清涼剤ではない。根本さん自身が言っている通り、「毒をもって毒を制する」解毒であるので、呑気にあははと読んではいられない。常識/非常識の境界やら正常/異常の境界やら日本/外国の境界やら、無意識のうちに引っ張った線や築いた壁を一回消して辺りを見回すことになる。そこから見える風景は何か。大袈裟に言うと「生きるということ」を考えさせらる一冊なのでした。

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