謎解き・津波と波浪の物理 波長と水深のふしぎな関係 (ブルーバックス) の感想

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参照データ

タイトル謎解き・津波と波浪の物理 波長と水深のふしぎな関係 (ブルーバックス)
発売日販売日未定
製作者保坂 直紀
販売元講談社
JANコード9784062579247
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 地球科学・エコロジー » 地球科学

購入者の感想

津波は,通常の海の波とはどこがどう違っているのかを,波の伝播の基礎から丁寧に説明した良書である.数式は一切使わず,数学的知識も中学生程度までしか使わないという原則を守り抜いて書かれている.流体力学は微分方程式を使わなければ書けないので,これはかなり無理な要請であるが,著者はよくがんばって易しく噛み砕いて,そして同じことを繰り返し説明して,予備知識のない読者にもわからせようと努力している.彼は海洋科学の研究員でもあるサイエンスライターだそうだが,学習塾の先生をしたらきっといい先生になるだろうと思う.
よっく知られているように,津波は,海底を震源とする地震などで海底地形が瞬時に大変動したことにより生じた,広大な海面の盛り上がりが伝播したものである.津波の波長は100kmにもなり,通常の波の波長がせいぜい100mくらいなの比べて圧倒的に長大である.後者は海面近くの水が回転しているだけなので,岸辺でない限り海の深さがどうであっても無関係である.波のエネルギーの伝播を与える群速度は,波形の伝播を示す位相速度の半分になる.これに対し,波長が巨大な津波は,水深が5000mあろうとも海底を「感じる」.群速度は位相速度と一致する,つまり塊のようになって太洋を横断していく.本書はこの辺の物理を基礎から丁寧に説明している.
p.22に,普通の海の波が風からどのようにエネルギーを得て成長するのかはまだよく解明されていないとだけ述べられている.詳しい理論はできていないのかも知れないが,概念的にはベルヌーイの定理で説明できそうに思える.つまり風が強く吹く海面上では,ベルヌーイの定理により圧力が下がるから海水が盛り上がり,それが伝播すると考えるのである.

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