君主論 新訳 (中公文庫) の感想
参照データ
タイトル | 君主論 新訳 (中公文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | マキアヴェリ |
販売元 | 中央公論社 |
JANコード | 9784122022720 |
カテゴリ | 人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門 |
購入者の感想
〈そもそも人間は、恩知らずで、むら気で、猫かぶりの偽善者で、
身の危険をふりはらおうとし、欲得には目がないものだ〉(第17章)
キリスト教的道徳観が支配的だった当時、こんな身もフタもない
人間観を披露すれば、そりゃあ、非難轟々だったと思います。
しかし、現在の視点から本書を読んでみると、書かれているのは、
上記のような、どうしようもない人間という存在をまとめていくリーダーが、
肝に銘じておくべき、ごくごく常識的な心構えに過ぎないように思います。
宗教上の原罪など信じなくとも、人間はもともと堕落している。
それは啓蒙主義が浸透することによって改善し、進歩していく類いのもの
ではなく、これまでもこれからも永遠に変わらない普遍的事実に過ぎない。
だから君主は、善悪ではなく人間性をみることで、他人の行動を見極めていくべきだ――。
まったく仰る通り、というしかありません。
また、君主は領民に対し、冷酷に振舞い、恐れられる存在であるべきだ、
と説くマキアヴェリですが、恨みを買うことだけはしてはならないと戒めます。
特に、死刑は〈適当な口実としかるべき動機があるときに〉ならやってもよいが、
決して領民の財産には手を出してならない、と取り立てて注意を促している所に、
マキアヴェリの鋭い人間洞察があらわれているように感じ、興味深かったです。
なぜなら〈人間は、父親の死はじきに忘れてしまっても、
自分の財産の喪失は忘れがたいものだから〉です。
身の危険をふりはらおうとし、欲得には目がないものだ〉(第17章)
キリスト教的道徳観が支配的だった当時、こんな身もフタもない
人間観を披露すれば、そりゃあ、非難轟々だったと思います。
しかし、現在の視点から本書を読んでみると、書かれているのは、
上記のような、どうしようもない人間という存在をまとめていくリーダーが、
肝に銘じておくべき、ごくごく常識的な心構えに過ぎないように思います。
宗教上の原罪など信じなくとも、人間はもともと堕落している。
それは啓蒙主義が浸透することによって改善し、進歩していく類いのもの
ではなく、これまでもこれからも永遠に変わらない普遍的事実に過ぎない。
だから君主は、善悪ではなく人間性をみることで、他人の行動を見極めていくべきだ――。
まったく仰る通り、というしかありません。
また、君主は領民に対し、冷酷に振舞い、恐れられる存在であるべきだ、
と説くマキアヴェリですが、恨みを買うことだけはしてはならないと戒めます。
特に、死刑は〈適当な口実としかるべき動機があるときに〉ならやってもよいが、
決して領民の財産には手を出してならない、と取り立てて注意を促している所に、
マキアヴェリの鋭い人間洞察があらわれているように感じ、興味深かったです。
なぜなら〈人間は、父親の死はじきに忘れてしまっても、
自分の財産の喪失は忘れがたいものだから〉です。