尾張藩江戸下屋敷の謎―虚構の町をもつ大名庭園 (中公新書) の感想
参照データ
タイトル | 尾張藩江戸下屋敷の謎―虚構の町をもつ大名庭園 (中公新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 小寺 武久 |
販売元 | 中央公論社 |
JANコード | 9784121009531 |
カテゴリ | ジャンル別 » 歴史・地理 » 日本史 » 江戸 |
購入者の感想
著者は日本建築史の専門家。
本書は、尾張藩が江戸の下屋敷に造成した大名庭園について解説したもの。広大な回遊式の庭園で、園内には寺、鬼の人形、50メートルにもなる築山、さらには宿場町をそっくり再現した町並みまでがつくられていた。しかも、将軍のお成りの際にのみ公開されたというから、並のものではない。
その庭園の姿が、いくつかの見聞録をたどりつつ、再現されていく。ただ、史料が少なく、庭園そのものも現存しないため、かなり曖昧だったり矛盾したりする点が残ってしまうのが残念。
また、史料をべったりなぞっていくので、いささか読みにくい。また、この庭園の存在意義や目的、社会背景との関連についても、充分な分析がなされているとはいいがたく、非常に物足りない思いが残る。
しかし、読むほどに他の大名庭園や、イギリスのピクチャレスク庭園との比較が連想され、興味深かった。そういった庭園研究が盛り上がる直前の時期に書かれた本だけに、惜しい気がする。
本書は、尾張藩が江戸の下屋敷に造成した大名庭園について解説したもの。広大な回遊式の庭園で、園内には寺、鬼の人形、50メートルにもなる築山、さらには宿場町をそっくり再現した町並みまでがつくられていた。しかも、将軍のお成りの際にのみ公開されたというから、並のものではない。
その庭園の姿が、いくつかの見聞録をたどりつつ、再現されていく。ただ、史料が少なく、庭園そのものも現存しないため、かなり曖昧だったり矛盾したりする点が残ってしまうのが残念。
また、史料をべったりなぞっていくので、いささか読みにくい。また、この庭園の存在意義や目的、社会背景との関連についても、充分な分析がなされているとはいいがたく、非常に物足りない思いが残る。
しかし、読むほどに他の大名庭園や、イギリスのピクチャレスク庭園との比較が連想され、興味深かった。そういった庭園研究が盛り上がる直前の時期に書かれた本だけに、惜しい気がする。