グレン・グールドのピアノ の感想

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参照データ

タイトルグレン・グールドのピアノ
発売日販売日未定
製作者ケイティ ハフナー
販売元筑摩書房
JANコード9784480873668
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

たまたま本屋で立ち読みして、面白そうだったので購入しました。読み始めると面白く、中断してページを綴じるのが惜しいくらいでした。
物語はグールドの遺品整理から始まり、グールドの生い立ちへと続きます。ここまでは普通ですが、盲目の調律師エドクィスト、スタインウェイの話へとグールドの話題から離れます。グールド目当てで読むと調律師の生い立ちはいささか退屈に感じるかもしれませんが、目の障害を克服しながら調律師としての技術を獲得していく様は読み応えがあります。スタインウェイの章ではピアノの型番や機能などが語られるほか、戦時下では軍用グライダーや軍用アップライトを製造していた話などなかなか読み手を退屈させません。再度物語がグールドに戻ると満足なピアノが見つからないグールドのスタインウェイ社への執拗なクレームが、いかにもグールドらしく、傍観者である読者としては面白いです。
300ページある本文のなかでグールドとピアノCP318と調律師が出会うのは半分を過ぎた頃ですが、それまでのエピソードや周辺知識の詳述について文章構成が巧くできているため、面白いです。この本の主題はあくまでも「ピアノCP318」、いわば変奏曲のバス主題のようなもので、グールド、調律師と出会う黄金期は3声のカノンといったところでしょうか。ストーリーとしてはそれほど劇的な展開があるわけではありませんが、書き方が巧いのでグールドの音楽のようにスリリングです。ただし、グールドの恋愛の話は主題から逸れているように思い、本書には蛇足だったように思います。著者が女性だったから書きたかった話題だったのかもしれません。2回目のゴルトベルク変奏曲の録音はヤマハのピアノの機能的限界に不満をもちつつもリテイクにトライするグールドの姿にあの名演の秘密が隠されているように思います。
グールドの文献はたくさんありますが、使用ピアノに焦点をあてて掘り下げた文献はないように思います。使用楽器を主役とした著作が成立するのもグールドならではです。スタインウェイピアノについて詳しいため、グールドファンのみならずピアニストにもおすすめします。

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