DNA鑑定は万能か―その可能性と限界に迫る(DOJIN選書31) の感想

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タイトルDNA鑑定は万能か―その可能性と限界に迫る(DOJIN選書31)
発売日販売日未定
製作者赤根 敦
販売元化学同人
JANコード9784759813319
カテゴリジャンル別 » 医学・薬学・看護学・歯科学 » 医学一般 » 法医学

購入者の感想

DNA鑑定について、その前提となるDNAの構造や分析方法から、DNA鑑定発達の歴史、現在の主要な鑑定手法であるSTR、Y-STRやミトコンドリアDNAなどにつき、その理論と実際の鑑定方法、それぞれの問題点等につき極めて平易に解説した良書。また、広く使用されているこれらの手法のみならず、STRが使えない場合に用いられる事もあるSNPなどの方法についても(ちょっと難しいけど)触れられており、最新の知見にも触れることができる。さらに、DNA鑑定の限界について、コンタミネーションや経年劣化など極めて具体的に述べられているのもよい。

それから、この手の本は、特定の立場からかかれていることも多いが、科学的な立場から、極めて中立的に書かれている点も評価できる。

DNA鑑定について、何となく知ってるつもりだけど、ちゃんと理解したい、という非専門家にはちょうどよい導入となるのではないか。

個人的には、北朝鮮が拉致被害者の遺骨と称して「返還」してきたものについて、被害者とは別人のDNAだとの鑑定結果に基づく日本側の主張について、疑問を投げかけている点が極めて興味深かった。DNAは200度程度の熱で分解するそうだ。そうすると、高温で火葬された遺骨からDNAの塩基配列を検出することはまず不可能だそうだ。普通の報道に接していると、北朝鮮がまたしょうもないウソついたのかように思わされてしまうが、ことはそう単純ではなさそうだ。

事件を報道する社会部記者なども、本書程度の知識は持っていて欲しいものだ。著者に的外れの取材をするくらいなら、半日もあれば読める本書をおすすめする。

(2014/9/24読了)

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