The Appeal (John Grisham) の感想

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参照データ

タイトルThe Appeal (John Grisham)
発売日販売日未定
製作者John Grisham
販売元Random House Audio
JANコード9780739316504
カテゴリ » 洋書 » By Publisher » Random House

購入者の感想

Playing for Pizza、では、お遊びが過ぎた感のあるJohn Grisham氏ではあったが、続いて発表されたこの本は大きな反響を呼ぶのではないかと思う。
クレーン・ケミカルという会社が産業廃棄物を垂れ流して地下水汚染を引き起こし、その水を飲んでいた子供と夫が癌で亡くなった、という訴えで原告は補償費と懲罰的損害賠償金の合わせて41百万ドルを勝ち取った。この話は、その裁判結果を不服とするクレーン・ケミカルの最高裁判所への上訴請求を主軸として、時を分かたず行われる最高裁の判事の入れ替え選挙とを絡めて展開される。
いつもながらに読みやすい文章で十分に楽しむことができたのではあるが、話の結末はこれから読む人の楽しみを奪ってしまうので控えることにする。
私がこの本に5つ星をつけた理由は、アメリカの裁判制度が抱えるいくつかの問題点を作者が大胆に抉り出しているからである。1)陪審員が被害者に感情的な肩入れをして事実の認識を怠ることはないのか、2)賠償金が、被害者の得べかりし所得と精神的打撃に対して、常識を超える金額に裁定されるのが一般的になっているのではないか、3)原告の陰に隠れて金儲けをする法廷専門弁護士の道義的責任はないのか、4)法外な賠償金の裁定はアメリカの経済活動を損なっているのではないか、5)陪審員が裁定する非常識な賠償を防ぐために大企業(或いは政治家)が画策する防衛策は道義にもとるものか。
作者はあとがきでこのように言っている、登場人物や背景の設定は全くのフィクションであるが、行われていることは事実に基づいたものである、と。我々読者はこの物語の結末に一喜一憂するのではなく、アメリカ社会の抱えている裁判制度、或いは飛躍して考えて、どの国のどの制度にも潜んでいる不合理さや古くなって役に立たなくなった制度などに思いを致すよすがとなる本である、と考えるべきなのではないかと思う。

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