第二次世界大戦1939-45(上) の感想

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タイトル第二次世界大戦1939-45(上)
発売日販売日未定
製作者アントニー・ビーヴァー
販売元白水社
JANコード9784560084359
カテゴリジャンル別 » 歴史・地理 » 世界史 » 一般

購入者の感想

① 本書の序文は、ノルマンディー上陸作戦に際して米軍の捕虜となったヤン・キョンジュンと言う朝鮮半島出身の兵士の物語から始まる。ノモンハンで日本軍兵士として戦いソ連軍の捕虜となり、転じてソ連軍に加わりドイツ軍の捕虜となり、更にドイツ軍の東方兵として西部戦線に送られると言う数奇と言うしかない運命を辿った。政治家や将軍の思考様式や戦局を分けた判断のみで歴史を書き終えることを潔しとしない著者の姿勢を感じることが出来る。勿論、戦争の悲劇自体を語ることが本書の目的では無いので、本文において物語としての悲劇は登場しないが、多くの犠牲が生じたことは随所で記されている。
② 日本人にとって気になることは、「太平洋戦線」の記述だが、「アジア太平洋戦争」として満州事変から捉えて行くという、近年の研究成果を踏まえており、大東亜戦争肯定論者以外の読者には納得の行く記述と思う。著者の立場は端的に言えば日本「悪者論」であるが、第二次世界大戦が連合国にとって「反ファシズム戦争」であったことは常識で有り、日本がナチスドイツの同盟国として「悪者」になるのも世界の常識であると認識しておくことは日本人にとって大切な事である。
③ 第3巻の最終章では、当然のことながら広島、長崎への原爆投下について書かれているが、著者の立場は婉曲ながら原爆投下肯定論に近いと見ることができる。被爆者の方からは納得しがたいと思うが、原爆投下無しに、日本の指導者が8月の時点で降服の決断に踏み切れたかどうかは議論のある所であろう。戦争体験者であった小生の両親にしても(父は海軍の下っ端将校で負傷で入院していた、被爆後の広島の惨状を復員列車から見たと言う。母は東京大空襲の生き残り。)、原爆投下がなければ、日本は平和国家になる決意が出来ず、敗戦後も報復の機会を待つことになったかも知れないと漏らしていた事があった。
④ 西部戦線、東部戦線、アフリカ戦線、アジア太平洋戦線と分けて書くことに比べて遥かに難しい、全ての戦線を関連付けて同時進行の立体として記述すると言う課題に挑んだ意欲作であり、得る所の多い著作であると思う。不完全な点や、多くの異論もあると思うが、それは次の挑戦者への宿題とすべきであろう。

アントニー・ビーヴァーの待ちにまった大作の翻訳本です。第二次世界大戦を欧州戦線および太平洋戦争の両面から年代順に記述されており、上巻はノモンハンや中国大陸の日華事変から真珠湾攻撃まで、ヨーロッパ戦線はナチス政権把握後からモスクワ攻防戦までが記述されています。彼の過去の作品同様に過去および最近発掘された幅広い史料の中からから一般市民から各国の将兵、将軍、指導者等の証言等を拾い集めて記載されていて500頁を超える本にもかかわらず一気に読んでしまいます。難点はノルマンディー上陸作戦の記述に見受けられたように対立する片方を擁護し、もう一方を弾劾するような記述がたまに見受けられますが(ノルマンディー上陸作戦で英米軍がドイツ軍捕虜を射殺した場合に「誤って撃ってしまった。」と記述し、反対に同様な行為がドイツ軍がした場合は「捕虜を虐殺した」等の記載)
上記の欠点はあるにしてもごく些細な点であり、全体的には公平かつ正確に書かれている。また、彼の作品はたぶん年齢的にこれが最後になるのでは?とおもわれるので、来月以降発売の第2次世界大戦(中)、(下)が楽しみである。

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