東大教授が教える独学勉強法 の感想

単行本版が2014年7月発刊。発刊からやや時間が経っているが、普遍的に読むことのできる一冊。
著者の意図は極めて明確かつ洗練されており、（有料本のため最低限にするが）一部引用すると・・・

勉強の目的は
１．受験勉強や資格試験など明確なゴールがある勉強
２．教養を身に着けるための勉強
３．答えのない問いに自分なりの答えを見つける勉強（いわゆる本質的な勉強、学問としての勉強、自分の道を生きるための勉強）

と分類し、本書は１，２を決して否定せずに、３に特化してまとめておられる。

ここから先は購入して読んでいただきたいが、専門書との対峙の仕方、思考、応用など普遍的なことについて、極めて平易な言葉で綴られている。
普遍性からあたりまえと考えられ★１をつけるレビュワーらが散見されるが、一周回って辿り着いた結論だからこそ価値があるのではないだろうか。

目的志向の高い安直な勉強法に関する書籍は掃いて捨てるほどあるし、難しく書かれた学問への導入本も多くあるが、これだけ読者にフレンドリーに、なおかつ平易に書いた書籍は少ないのではないだろうか。

タイトルは残念だが（「東大教授」のキラーワードを持ってくるなど、商品として売るためには仕方ないでしょうが）、この手の本によくある罫線や太字などが皆無であることが好印象（アレ、本当に何とかならないでしょうか。電子書籍ならオフにできるとかあったらいいのに）。

受験生諸君やそのご両親、受験産業の方々には向いていないが、遅かれ早かれこういった書籍に触れておく必要はあると思う。早ければ考え方の形成に、遅ければ自身の確認と具体的な行動に活かせるゆえ。

私は残り続ける良書と思う。だからこそ、タイトルが残念。

独学勉強法の方法論というより独学のススメだと思います。方法論を期待すると、ちょっと残念に思うかもしれません。しかし私は、読んでよかったと思っています。「東大首席弁護士が教える超速『7回読み』勉強法 」は、参考書は浮気せず1冊を繰り返せと教えますが、本書は、自分に合う参考書を吟味することが先決と教えます。自分の理解のパターンに合った参考書を選ぶことの大切さを訴えます。世間の評判はよいが自分の理解のパターンに合わない参考書を選び、繰り返し勉強した割に効果が上がらず、自分はできないと思ってしまうリスクを指摘します。つまみ食いしただけの参考書はお金の無駄かというと、私はそうは思いません。合わない参考書をつかって自信を失うことを思えば、安いものだと思います。