Decline and Fall of the Hapsburg Empire 1915-1918 の感想

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参照データ

タイトルDecline and Fall of the Hapsburg Empire 1915-1918
発売日販売日未定
製作者Alan Sked
販売元Longman Pub Group
JANコード9780582025318
カテゴリSubjects » History » Australia & Oceania » Australia

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A.J.P.テーラーの反ハプスブルク史観ではじまったイギリスのハプスブルク帝国史研究は、C.A.マカートニーとR.オーキーの研究によって帝国の存在を顕彰する方向に修正されていった。A.スケッドによる本書は、帝国通史でなく、従来の諸研究をふまえた帝国史のエッセイとして、大学生向けに書かれている。
 著者はまず、ハプスブルク帝国史を学ぶ必要性を説いている。ヨゼフ主義(18世紀末の啓蒙専制君主政)、二重君主政のような国家制度、帝国の存在がヨーロッパの勢力均衡に果たした貢献といった、その歴史がヨーロッパの将来に対して多くの示唆を与えてくれると、帝国のヨーロッパ史における重要性を強調しているのである。
 帝国の崩壊について、著者は民族問題による内因説を否定、第1次世界大戦における敗戦による外因説をとり、帝国は第1次世界大戦がなければ生存できたと断言している。1867年の二重君主政成立後の帝国は、確かに反スラヴ的な内政、親独的な外交をとってきたし、両政策は共に帝国を第1次世界大戦に導いた相関関係があった。それでも帝国には現状維持という国是があって、帝国は冒険をおかさず存続してきた。ところがサラエヴォ事件で、帝国は国家の威信の名の下に国是をかなぐり捨てて、ドイツとの同盟関係に頼って大戦に突入したのが命取りになったというのである。ここで著者は、政策決定者としての皇帝フランツ・ヨゼフの責任を指摘している。
 本書は含蓄に富んで啓発的であるが、エッセイなのでページ数が少なく、帝国史を詳しく解説できず、マカートニーやオーキーのようにハプスブルク帝国史の決定版にはなれない。両大著の間に位置する、ハプスブルク帝国史の秀逸な小品である。

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Decline and Fall of the Hapsburg Empire 1915-1918

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