古代オリエントの宗教 (講談社現代新書) の感想

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タイトル古代オリエントの宗教 (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者青木 健
販売元講談社
JANコード9784062881593
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 » 宗教史

購入者の感想

著者は「聖書ストーリー」というものを基礎において、古代オリエント、メソポタミアの地域に興った宗教を解説している。その「聖書ストーリー」というものが、旧約聖書・新約聖書、+「何か」という具合に定義されていて、とてもわかりやすい。あとがきで、早稲田大学の創造理工学部で行った講義がこの本の基のひとつなので、理工系の「頭に」なにか因果関係のプロットが必要と、「聖書ストーリー」を軸にすることを思い立ったと書かれている。そのおかげか、内容はとてもスッキリしている。

例えば、
2世紀:ローマで成立したマルキオーン主義は旧約聖書を切り捨てて「新約聖書」の結集。
2〜3世紀:地中海世界「原始キリスト教教会」は、「旧約聖書」+「新約聖書」の図式で確定。
3世紀:マーニー教は「新約聖書」+「マーニー教七聖典」
7〜10世紀:ムハンマド・イスラームは「旧約聖書」+「新約聖書」+「クルアーン」
8〜10世紀:シーア派イスラームは「旧約聖書」+「新約聖書」+「クルアーン」+「歴代シーア派イマームの言行録」

最終的に、サーサーン朝ペルシャ帝国の国教であったゾロアスター教が、『創始者ザラスシュトラが「聖書ストーリー」の中の預言者であった』という説を受け入れた時が、「聖書ストーリー」の東方全域の支配の完成とされる。「聖書ストーリー」をユダヤ教の苦難の歴史までとするか、イエスが神の子であるとして完結するか、ムハンマドをエンドとするかは、各人の考え次第であるが、もうこれ以上のエンディングは生まれ得ないであろうと言うのが結論だ。そして神話が宗教になるには、神話と現実を結ぶ象徴が必要であるらしい。イエスとかムハンマドとかザラスシュトラなど現実の(?)人物が。また、キリスト教というと往往にして西洋をイメージしてしまうが、「聖書ストーリー」はメソポタミアで生まれたのであり、その点を抜きにして聖書を理解できないと思う。そしてその思想は、政治的権力者の支配する地域の位置関係にも影響されているようだ。

概説なので一般的知識に終わっているとも言えるが、とにかく門外漢であるわたしにとっては、いろいろな宗教の位置関係がスッキリわかった。

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