SFを実現する 3Dプリンタの想像力 (講談社現代新書) の感想

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参照データ

タイトルSFを実現する 3Dプリンタの想像力 (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者田中 浩也
販売元講談社
JANコード9784062882651
カテゴリ » ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 科学読み物

購入者の感想

時々こういう出会いがあるから新書を読むのをやめられない。
本書は、SFC准教授で3Dプリンタやカッティングマシンなどの工作機械を備えたワークショップ「ファブラボ」を日本で推進してきた第一人者による、「3Dプリンタによって世界はどう変わるのか?」を具体的事例と想像力(概念)の両方を駆使して描き出す一冊。
「3Dプリンタってそもそもなーに?」という初歩的な部分をすっ飛ばして話が始まるので、冒頭はややとっつきにくい印象もあるが、読み進めていくと、著者が単に3Dプリンタの説明をしたいわけではなく、もっと大きな世界の枠組の変化についての話をしようとしていることがわかってくる(なので、3Dプリンタの概要や仕組み、歴史や具体的な活用法を知りたい人は別の本を読む必要がある)。

著者が描く変化とは、例えばこんなものだ。
「いま一般的に、『読み書き』といえば、通常は『文字の読み書き』のことを指します。文字を読んだり、書いたりできることで、私たちは日々のコミュニケーションを紡いでいます。しかし3Dプリンタやデジタル工作機械は、『文字の読み書き』ではなく、私たちの『ものの読み書き』を再定義してくれる契機にもなっています。/『ものの読み書き』とはつまり(中略)特に工業製品の、仕組みを知り、機能を知り、素材を知り、加工法を知り、自分でも少しつくったり、直したり、改造したりすることを、日常のなかでゆっくりと身につけていくことです。」(P87-88)
3Dプリンタをはじめとするテクノロジーは、「新しいものを考え、つくりだす体験」を、現在それを行っている一部の企業や工場、設計者や職人たちの元から私たち一般人の家庭や手元へ広げていく可能性を秘めている。というのは、多くの人が既になんとなく知っていることかもしれない。著者はその可能性を、世界中で起きている様々なエピソードや自身が所属する研究室の実績を紹介しながら鮮やかに導き出していく。

また本書ではたびたび、アメリカの一般市民が自宅のガレージで「新しいものを考え、つくりだす体験」を日常的に行っていることを例に、比べて日本人がそうした体験から分断されていることが指摘される。

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講談社から発売された田中 浩也のSFを実現する 3Dプリンタの想像力 (講談社現代新書)(JAN:9784062882651)の感想と評価
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