The Old Enemy: Satan and the Combat Myth の感想
参照データ
タイトル | The Old Enemy: Satan and the Combat Myth |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | Neil Forsyth |
販売元 | Princeton Univ Pr |
JANコード | 9780691014746 |
カテゴリ | 洋書 » Subjects » Religion & Spirituality » Religious Studies |
購入者の感想
英文学最大の叙事詩『失楽園』の作者ミルトンの研究者である著者がまとめた、人類の歴史の起源に遡る意識に直接働き掛ける〈悪魔的〉=否定的な人格的他者の太古から中世までの歴史。ジョージ・スタイナーやジェフリー・ラッセルがどう褒めたのか読めてはないが、本書は研究対象である以上シュメールの円筒印章から旧約・新約とその解釈に至るまでの言語的テキストに依拠している。悪魔の存在を前提にしながらその悪魔概念成立の経緯と経過を辿ることにより成立している画期的な大著。
構成は以下の5部。
第一部 古代の〈敵〉
第二部 反逆と黙示
第三部 グノーシス神話とキリスト教神話
第四部 デミウルゴスと悪魔
第五部 アウグスティヌスとキリスト教神話の構造
特に研究書の少ない前半部が重要である。終戦直後に発見されたナグ・ハマディ文書や死海文書の戦後における研究成果を全面的に取り入れ、人間の悪魔理解の構造と解釈をテキストを明確に示しながら縦横に論じていくのは圧巻。尤も、最も重要な用語の一つである「見張り(Watchers)」という訳語が妥当かどうかは疑問。意識に直接働き掛ける人格的言語的存在で自分たち人間にとって否定的にしか捉えようのないようなそういう存在を単にそう捉えざるを得なかったのはなぜなのか、これを解きほぐすということは、否定的か肯定的かと言うことに従来の思想史通り問題を集中するよりも人類がその起源においてどんな境遇にあったのか、またあったと想像せねばならないか、人間とは一体どういう存在なのか、という問い、また、〈悪魔〉が一体何なのか、何者なのかを直截に問うことまでが求められている。
構成は以下の5部。
第一部 古代の〈敵〉
第二部 反逆と黙示
第三部 グノーシス神話とキリスト教神話
第四部 デミウルゴスと悪魔
第五部 アウグスティヌスとキリスト教神話の構造
特に研究書の少ない前半部が重要である。終戦直後に発見されたナグ・ハマディ文書や死海文書の戦後における研究成果を全面的に取り入れ、人間の悪魔理解の構造と解釈をテキストを明確に示しながら縦横に論じていくのは圧巻。尤も、最も重要な用語の一つである「見張り(Watchers)」という訳語が妥当かどうかは疑問。意識に直接働き掛ける人格的言語的存在で自分たち人間にとって否定的にしか捉えようのないようなそういう存在を単にそう捉えざるを得なかったのはなぜなのか、これを解きほぐすということは、否定的か肯定的かと言うことに従来の思想史通り問題を集中するよりも人類がその起源においてどんな境遇にあったのか、またあったと想像せねばならないか、人間とは一体どういう存在なのか、という問い、また、〈悪魔〉が一体何なのか、何者なのかを直截に問うことまでが求められている。