不道徳教育講座 の感想

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参照データ

タイトル不道徳教育講座
発売日販売日未定
製作者三島 由紀夫
販売元角川書店
JANコード9784048834001
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日本のエッセー・随筆 » 近現代の作品

購入者の感想

全69章からなっているが、「死後に悪口を言うべし」の項では、まさに物事の本当のことを語る。
死んだ人の悪口をいうな、と決まり文句のようにいうことにずっと違和感をいだき、また、生きている人の言葉が、己自身の言葉を筆頭にいかにもうそくさいな、とずっと思っていた私の心がこの言葉ですっと晴れた。
問題はそれが万人に受け入れられる言葉や考えではなく、真実はどこにあるのか、を追い求めた言葉であるのか、だ。

死が始まりかもしれない、とおもえば、しっかりとその人のことを見つめ、そして思考する対象におかないと死に人に対しての批評や批判などは出来やしない。

そして、この項を三島由紀夫は、こんな言葉で締めている。自分が死んだら、幽霊になってみんなの言葉を聞きたい。「あいつと五分も話していると、ヘドが出そうだった。」こういっている連中の頭を幽霊の私はやさしく撫でるでしょう。私はどうしても生きているときに言われていたのと同じ言葉を、死後も聞きていたい。
それこそは、人間の言葉だからです。」 

この「死後に悪口を言うべし」のほかにも「人の失敗を笑うべし」「人の不幸を喜ぶべし」「人のふりみてわがふり直すな」「友人を裏切るべし」「大いにうそをつくべし」などの、わくわくする項目が並ぶ。

中でも、「約束を守るなかれ」「告白するなかれ」は抜きん出て素晴らしい矜持を表現している。
三島由紀夫の作品に接するとき、どうしてもその最期が頭に浮かぶのだが、この作品にもそれは随所に表れている。どうかこの本は、いままでに誰も嫌いになったことはない、とか、うそはついたことはない、とか、自分は二番目他人の幸せがいちばん、などと思っている方は読まないほうがいい。あまりにわかりやすく、ユーモアを持って読書の心にすっと入りこんでくるので、油断もすきもない。あくまで逆説的な見解だと、理解できる首の座った大人にだけお読みいただけるといい。

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