映画は絵画のように――静止・運動・時間 の感想

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参照データ

タイトル映画は絵画のように――静止・運動・時間
発売日販売日未定
製作者岡田 温司
販売元岩波書店
JANコード9784000222945
カテゴリジャンル別 » エンターテイメント » 演劇・舞台 » 演劇

購入者の感想

著名な美術史家である著者の名前と、「詩は絵画のように」のもじりであるタイトルから、本書が詩画比較論の延長上において絵画と映画という二つの芸術ジャンルを視覚文化論的に接続して論じたもの、と読む前は思っていた。けれどそんなことはなく、本書では意外なほど素直な映画論が展開されている。
美術史家である著者ならではの、美術史的研究において分析されるモチーフや主題、そこで利用される方法論を軸にして映画作品が考察される点に、本書のオリジナリティがあるのだろう。
以下は目次。

第1章. ウト・ピクトゥーラ・キネーシス − 絵画論と映画論 
第2章. 独り歩きする影
第3章. メランコリーの鏡
第4章. 不気味な肖像画
第5章. エニグマとしての彫刻
第6章. 静と動のあわいの活人画
第7章. さながら抽象画

まず、第1章で絵画(論)と映画(論)における諸言説の接点が探り出されるところから本書は出発する。第2章では「影」が様々な映画のなかでどのような役割を果たしたか、なにを象徴していたのか、といったイコノロジー(図像解釈学)的な分析がおもで、さほどおもしろいとは思わなかった。けれど、より幅広いイメージ論的な視野が交錯し始める3章以降は興味深く読めた。

個々の映画作品についての分析を読む分には興味深いのだけど、著者のほかの著作と同様、論が拡散して全体をとおしての論旨がわかりにくいのはご愛嬌か。
本書では、絵画作品のなかにも見られる主題やモチーフが映画のなかではどのようにあつかわれているか、絵画(および彫刻)作品が映画においてどのようなモチーフとしてあつかわれているか、映画と絵画における表現方法の類似性(相違性)にはどのようなものがあるか、といった問題があまり整理されていない。なので章あるいは本書全体で見たときに、どういう観点から「映画は絵画のように」なのかが漠然としているのだ。

また内容紹介に「映画好きも西洋美術ファンも楽しく読める本」とあるが、むしろ「映画好きで、なおかつ西洋美術ファンなら楽しく読める本」というべきだろう。

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